研究課題/領域番号 |
23580376
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
板橋 久雄 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 客員教授 (00280991)
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研究分担者 |
木村 信熙 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 教授 (00350174)
撫 年浩 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 准教授 (60434148)
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キーワード | マイコトキシン / デオキシニバレノール / ゼアラレノン / ルーメンプロトゾア |
研究概要 |
マイコトキシンの中で牛の飼料における最も被害が大きく重要なデオキシニバレノール(DON)とゼアラレノン(ZEN)が牛ルーメン内発酵に及ぼす影響とDONとZENの分解の様相を試験管内培養実験により調べた。培養では、基質として乾草のみ、乾草+濃厚飼料を用い、20時間培養した。 すべての試験区でpHはほぼ正常に維持された。ガス発生量とメタン発生量、アンモニア濃度にはDONおよびZEN添加の影響は認められなかった。プロトゾア数はDONおよびZENの添加により1/2以下に減少した。総VFA濃度は、いずれの添加でも低下したが、VFAの比率に及ぼす影響は認められなかった。添加したZENとDONは培養6時間目までに約1/4に減少した。微生物をプロトゾア区分と細菌区分に分けてマイコトキシンの分解の様相を検討した結果、プロトゾア区分の方が速やかに分解することが明らかとなった。 以上より、DONおよびZENはpHやガス発生量には影響を及ぼさないが、プロトゾアを抑制し、VFA生成などを低下させることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイコトキシンがルーメン発酵に及ぼす影響については、培養実験法が確立し、誤差も少なく実験を実施できている。今年度はルーメン微生物をプロトゾア区分と細菌区分に分けての培養実験も行ったが、ほぼ計画通りに実施できた。 DONとZENの定量では外部に分析依頼すると膨大な経費が必要となるが、研究協力者の協力によりすべての正確な分析を行うことができた。 以上より、ほぼ順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
マイコトキシン(DONとZEN)のルーメン内分解には、給与飼料の影響が大きいと考えられるので、これらについてさらに追究する。微生物とくにプロトゾアの影響についてもさらに検討する。 さらに、マイコトキシンの分解は、プロバイオテックスやプレバイオテックスの添加で促進されると考えられるので、その添加効果を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
培養実験では、DON とZENを添加するが、これらは高価であり、試薬代のかなりを占める。試料分析では液体クロマトやガスクロマト、さらに各種のキットを用いるが、これらの消耗品類にも使用する。 さらに、国際学会(ジョイントルーメン研究会)が中国で今秋予定されており、これに参加し、成果の一部を発表する予定である。
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