研究概要 |
本研究の目的は、周産期(分娩前後)における母子牛の家畜福祉性を、特に健康性に焦点を当てて評価することである。 平成23年度については、冬季に分娩したホルスタイン種雌牛4頭を対象に、分娩前後の母子行動を監視装置を用いて記録すると共に、分娩1週間前および分娩後1, 2, 3日目に採血し、分娩後6時間目に採材した初乳中、および、その子牛の出生後6時間, 1, 2日目の血漿中コルチゾール濃度との相関を求めた。 前者については、現在、行動解析中である。後者については、母牛の分娩1週間前の血漿コルチゾール濃度と分娩後3日間の血漿コルチゾール濃度(全てr=0.983, P<0.05)および初乳中コルチゾール濃度(r=0.973, P<0.05)との間に、極めて強い相関が認められ、子牛の出生後6時間目(r=0.94, P=0.06)および2日間(1日目r=0.985, P<0.05;2日目r=0.935, P=0.07)の血漿コルチゾール濃度との間にも、極めて強い相関が見られた。また、初乳中コルチゾール濃度と子牛の出生後6時間目(r=0.992, P<0.01)および2日間(1日目r=0.933, P=0.07;2日目r=0.843, P=0.16)の血漿コルチゾール濃度との間にも、強い相関が認められた。 これらの結果から、分娩前にストレスレベルが高い母牛は、分娩後も引き続きストレスレベルが高いままであり、子牛は、出生前には母牛からの血液を介して、出生後には初乳を介して、その影響を受けることが示唆された。
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