研究課題/領域番号 |
23580380
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
千国 幸一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所畜産研究支援センター, 専門員 (40355061)
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研究分担者 |
室谷 進 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所畜産物研究領域, 上席研究員 (50355062)
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キーワード | 食肉 / 筋線維型 / 旨味 |
研究概要 |
イノシン酸は食肉の主要な旨味成分として知られており、その存在量を制御することは食肉の味を制御することにつながると考えられる。本研究では食肉を構成する筋線維の型がイノシン酸含量に影響を与えているか、単離した筋線維を分析することで明らかにする。23年度はウシの筋肉についてイノシン酸量を測定し、筋肉のタイプによってイノシン酸含量に違いがあることを明らかにした。この結果がウシ筋肉に特異的な現象ではないことを明らかにするため、24年度はブタの6筋肉について分析を実施した。試料は80kgおよび110kgのランドレース種ブタ各4頭から咬筋、横隔膜、半棘筋、胸最長筋、大腰筋、半腱様筋を採取し、イノシン酸を含む核酸関連物質、グリコーゲン、乳酸の分析を行った。その結果、イノシン酸濃度(µ mole/g meat)は咬筋2.28、横隔膜2.07、半棘筋3.28、胸最長筋5.28、大腰筋4.99、半腱様筋4.83と筋肉の種類によって違いがあり、速筋型筋肉は遅筋型筋肉よりも有意に高いイノシン酸含量を示した。以上の結果はブタ筋肉でもウシ筋肉と同様に速筋と遅筋でイノシン酸含量が異なり、筋線維型の違いがその主因であることを示唆していた。また、筋線維の型判定に用いるため、モノクロナール抗体の作成を実施した。ブタおよびウシのミオシン重鎖アイソフォームのアミノ酸配列を比較し、各アイソフォームに特異的な領域3ヶ所を選定して合計6種類のペプチドを作成し、マウスでの抗体作成を行った。その結果、ミオシン重鎖2x型ペプチドに対する反応が強く、ブタ、ウシの筋肉にも反応するマウス血清が得られた。現在、このマウスからモノクロナール抗体を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブタの筋肉でもタイプの異なる筋肉組織におけるイノシン酸含量に違いのあることを明らかにすること、および単離筋線維の型判定に用いるモノクロナール抗体を作成することを目的に今年度の試験を実施した。その結果、ブタの筋肉においても筋線維型構成の異なる速筋と遅筋でイノシン酸含量が異なることが明らかとなり、本研究を実施する上で基本的な仮説であった「筋線維型の相違によってイノシン酸含量が違う」は家畜筋肉で共通することが明らかになった。また、ミオシン重鎖アイソフォーム特異的抗体の作成にも取り組み、モノクロナール抗体の作成途上にある。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は筋線維の単離方法を確立するとともに各種のミオシン重鎖アイソフォーム特異的抗体の作成を行い、その抗体を用いた単離筋線維の判定と核酸関連物質の分析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度に実施する予定であった抗体の作成が実施中であるため約40万円の繰り越しが生じている。この全額で数種類の抗原化ペプチドの作成とモノクロナール抗体の作成を継続する。その他の研究費はHPLCカラムや筋線維単離用の試薬の購入に用いる。
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