研究課題/領域番号 |
23580382
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研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
矢用 健一 独立行政法人農業生物資源研究所, その他部局等, 研究員 (40343967)
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キーワード | 愛撫処理 / 行動発達 / オキシトシン / ストレス |
研究概要 |
前年度に開発した自動ブラッシング装置を用い、ホルスタイン種6頭(ブラシ群3頭、対照群3頭)および黒毛和種子牛12頭(ブラシ群6頭、対照群6頭)について、ブラシの利用性、増体、行動特性などを調査した。ホルスタイン種については経時的に採血を行い、血漿中オキシトシン濃度に及ぼす影響についても調査した。 ホルスタイン種では生後12時間以内にはブラシを利用し始め、1日あたり生後1日で約100回転、離乳までの45日間の平均では263回転の利用頻度が確認できた。利用頻度が下がらないことは、ブラシを利用すること、すなわち体を擦られることへの強い欲求を示しているものと考えられる。母親のグルーミングの代替として考案した本装置の有効性を示すデータである。黒毛和種ブラシ群6頭については現在解析中であるが概ね同様なデータを得つつある。 ブラシの効果については日増体重への影響についての解析を進めた。離乳までの日増体重はホルスタイン種で0.66±0.01 VS 0.67±0.11(それぞれn=3)、黒毛和種で0.44±0.14 VS 0.46±0.03(それぞれn=6) (対照群VSブラシ群)であり、統計的な差は認められなかった。一方、離乳後に4から6頭の群への編入を行った後の日増体重は、ホルスタイン種で0.91±0.05 VS 1.07±0.1(3ヶ月間の平均。それぞれn=2) 、黒毛和種で0.18±0.15 VS 0.46±0.11(2ヶ月間の平均。それぞれn=2) (対照群VSブラシ群)であり、黒毛和種対照群では1頭が群編入後1ヶ月で病死した。例数追加は必要であるが、現時点ではブラシ群において群編入後の日増体重が多い傾向にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発した自動ブラッシング装置は子牛の継続的な利用が確認できた。装置の利用により、現場で問題となっている、個別飼育から群飼育への移行期の体重増加の抑制を改善できる新たな可能性も示されてきており、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
行動特性についてはビデオ記録を現在解析中。血漿中オキシトシン濃度の測定は調査を予定している5組のサンプル全てが揃ってから行う予定。最終的にはブラッシング装置の実用化に向けたデータを様々な角度から蓄積したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
調査予定の農場へのデータ収集のための調査旅費、学会発表旅費、およびホルモン分析に用いる消耗品が主な使途である。
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