研究課題
子牛の擬似グルーミング装置を用い、ホルスタイン種10頭(ブラシ群5頭、対照群5頭)および黒毛和種子牛16頭(ブラシ群9頭、対照群7頭)について、装置の利用性と増体重および行動特性を前年度に引き続き調査した。ホルスタイン種では、生後1ヶ月齢で飼育ペン内に提示された新奇物をブラシ使用の牛は有意に早く探査し始め、有意に長い間探査を行った(P < 0.05: マン・ホイットニーU検定)。黒毛和種の生後2ヶ月間の日増体重は、雄で0.50±0.19 VS 0.44±0.07、雌で0.40±0.08 VS 0.47±0.02 (平均値±標準偏差,いずれも対照群VSブラシ群)であり、雌雄ともに統計的な差は認められなかった。一方、群編入後3ヶ月間の日増体重は、雄で0.18±0.11 VS 0.74±0.24、雌で0.48±0.33 VS 0.52±0.11 (平均値±標準偏差,いずれも対照群VSブラシ群)であり、雌では統計的な差は認められなかったが、雄ではブラシ群で有意に日増体重が多かった(p<0.01: Student t-test)。雄では、対照群において1頭が、群内での社会的闘争が原因と思われる体重停滞が原因で、群編入後49日目に単飼に一旦戻す事例が観察された。雌では、対照群において、1頭が群編入後1ヶ月で病死した。擬似グルーミング装置の利用によって、雄において、単飼から群飼への移行時の増体抑制が解消されたことが明らかとなった。今後、要因解析のための追加試験が必要であるが、擬似グルーミング装置の利用、すなわち母親のグルーミングに似た物理的刺激を受けることが、子牛の行動発達に好影響を及ぼし、群編入時の社会的ストレッサーに適応できたために増体重が維持されたのではないかと推測している。
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Animmal Behaviour and Management
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