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2011 年度 実施状況報告書

リポポリサッカライドによるウシ卵胞構成細胞の機能障害の解明とその起因分子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 23580383
研究機関帯広畜産大学

研究代表者

清水 隆  帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (90375113)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード内毒素 / 卵巣機能 / ステロイド産生 / 顆粒層細胞
研究概要

本研究は、子宮内膜炎罹患牛の感染細菌から放出されるリポポリサッカライド(LPS)の卵巣機能への影響を解析するため、卵胞構成細胞である顆粒層細胞および卵胞膜細胞のステロイド産生能におけるLPSの影響を解析した。本年度においては、小卵胞あるいは大卵胞から採取した顆粒層細胞のエストラジオール産生およびプロジェステロン産生におけるLPSの影響を解析した。小卵胞から採取した未成熟の顆粒層細胞を体外培養系にて成熟させる過程におけるLPSの影響をみたところ、エストラジオール産生は対照区に比べLPSの処理濃度が1.0, 5.0および10 μg/mlで有意に減少したのと同時に、このホルモン産生に必須の酵素であるアロマーゼの遺伝子発現も抑制した。一方、プロジェステロン産生はLPSによって抑制させることはなかった。また、顆粒層細胞数もLPSによって減少しなかった。LPS受容体であるTLR4, CD14およびMD2の遺伝子発現を解析したところ、いずれも因子もLPS処理により発現が増加した。大卵胞から採取した成熟顆粒層細胞において、エストラジオール産生は対照区に比べLPS処理区(10 μg/ml)で有意に減少したのと同時にアロマターゼの遺伝子発現も抑制した。細胞数およびプロジェステロン産生においては、LPSによる抑制効果は認められなかった。LPS受容体発現においては、LPS処理による影響は認められなかった。これらの結果から、顆粒層細胞におけるLPSの効果として、1)エストラジオール産生およびアロマターゼ遺伝子発現を抑制すること、2)細胞数およびプロジェステロン産生能には影響を与えないことが卵胞発育に関わらず共通の現象であることを明らかにした。以上、LPSは顆粒層細胞のエストラジオール産生を阻害することにより、卵巣機能を障害している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度の研究計画に沿って研究が進められていると考えられる。

今後の研究の推進方策

昨年度は、子宮内膜炎罹患牛から子宮組織およびそれに付随する卵巣組織の採取を定期的に行ったが、採取可能サンプルが少数であった。今後は解析するサンプル数をさらに増やすために本サンプル採取の効率化を目指すとともに継続的にサンプル採取を行う。平成23年度の研究計画である顆粒層細胞のステロイド合成におけるLPSの影響解析(卵胞発育モデル)については、ほぼ終了しつつある。今後は「排卵モデル」および「黄体形成モデル」における顆粒層細胞および卵胞膜細胞の機能におけるLPSの影響解析を重点的に行うため、卵胞からの細胞採取の効率化および培養技術の均一化を強化するとともに、解析機器類の技術習得に努める。考えられる方策として、(1)子宮内膜炎罹患牛からの組織採取における獣医師の配置検討、(2)卵胞からの細胞採取時酵素処理時間の検討、(3)細胞培養におけるコンタミの軽減、(4)共焦点レーザー顕微鏡による細胞内因子の視覚化を迅速かつ効率的に行う技術の向上などについて、重点的に行う。

次年度の研究費の使用計画

昨年度の研究計画の中にある卵巣内発育卵胞の卵胞液中LPS濃度の測定を継続的に行うため、その測定に関する試薬などに経費を使用するとともに、遺伝子発現関連消耗品および培養関連消耗品に経費を使用する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Effects of interleukin-8 on estradiol and progesterone production by bovine granulosa cells from large follicles and progesterone production by luteinizing granulosa cells in culture.2012

    • 著者名/発表者名
      Shimizu, T., Kaji, A., Imamura, E., Murayama, C., Magata, F., Shirasuna, K., Wakamiya, K., Okuda, K., Miyamoto, A.
    • 雑誌名

      Cytokine

      巻: 57 ページ: 175-181

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Circadian clock genes Per2 and Clock regulate steroid production, cell proliferation, and luteinizing hormone receptor transcription in ovarian granulosa cells.2011

    • 著者名/発表者名
      Shimizu, T., Hirai, Y., Murayama, C., Miyamoto, A., Miyazaki, H., Miyazaki, K.
    • 雑誌名

      Biochem. Biophys. Res. Commun.

      巻: 412 ページ: 132-135

    • 査読あり
  • [雑誌論文] BMP-4 suppresses progesterone production by inhibiting histone H3 acetylation of StAR in bovine granulosa cells in vitro.2011

    • 著者名/発表者名
      Yamashita, H., Murayama, C., Miyamoto, A., Shimizu, T.
    • 雑誌名

      Mol. Cell. Biochem.

      巻: 348 ページ: 183-190

    • 査読あり
  • [学会発表] ウシ卵胞膜細胞の黄体化における内毒素の影響2012

    • 著者名/発表者名
      越前谷陸、堀内まや、村山千明、白砂孔明、宮本明夫、清水隆
    • 学会等名
      日本畜産学会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2012年3月
  • [学会発表] ウシ卵胞膜細胞のステロイド産生における内毒素の影響2012

    • 著者名/発表者名
      堀内まや、村山千明、白砂孔明、宮本明夫、清水隆
    • 学会等名
      日本畜産学会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2012年3月
  • [学会発表] ウシ顆粒層細胞のステロイド産生におけるリポポリサッカライド(LPS)およびペプチドグリカン(PGN)の影響2011

    • 著者名/発表者名
      清水隆、宮内一樹、白砂孔明、村山千明、宮本明夫
    • 学会等名
      日本繁殖生物学会
    • 発表場所
      いわて県民情報交流センター
    • 年月日
      2011年9月
  • [学会発表] ウシ卵胞膜細胞のステロイド産生におけるLipopolysaccharide(LPS)およびPeptidoglycan(PGN)の影響2011

    • 著者名/発表者名
      堀内まや、村山千明、白砂孔明、宮本明夫、清水隆
    • 学会等名
      日本繁殖生物学会
    • 発表場所
      いわて県民情報交流センター
    • 年月日
      2011年9月
  • [学会発表] ウシ卵胞膜細胞のステロイド産生における内毒素の影響2011

    • 著者名/発表者名
      堀内まや、村山千明、白砂孔明、宮本明夫、清水隆
    • 学会等名
      北海道畜産学会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2011年12月
  • [図書] スキッロ「動物生殖生理学」2011

    • 著者名/発表者名
      清水隆、その他
    • 総ページ数
      428
    • 出版者
      講談社サイエンティフィック

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公開日: 2013-07-10  

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