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2012 年度 実施状況報告書

リポポリサッカライドによるウシ卵胞構成細胞の機能障害の解明とその起因分子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 23580383
研究機関帯広畜産大学

研究代表者

清水 隆  帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (90375113)

キーワード卵巣機能
研究概要

本研究は、子宮内膜炎罹患牛の感染細菌から放出されるリポポリサッカライド(LPS)の卵巣機能への影響を解析するため、卵胞構成細胞である顆粒層細胞および卵胞膜細胞のステロイド産生能におけるLPSの影響を解析した。本年度においては、食肉処理場で採取した子宮内膜炎牛の卵巣および子宮を用いて、卵胞内LPS濃度およびステロイドホルモン濃度を測定したところ、高濃度のLPSを含有していた卵胞ではステロイドホルモン濃度が低下していた。さらに、顆粒層細胞におけるステロイドホルモン合成酵素の遺伝子発現も低下していた。この結果は、LPSが直接的に卵胞の機能に影響していることを示している。次に、大卵胞および小卵胞からそれぞれ卵胞膜細胞を採取してステロイド合成能に対するLPSの影響をみたところ、プロジェステロン産生およびアンドロステンジオン産生は対照区に比べ、LPS処理区で有意に減少した。また、これらのホルモンの合成に関与するStARおよびCYP17遺伝子発現は、対照区に比べLPS処理区で有意に減少した。さらに、卵胞膜細胞の増殖能に対するLPSの影響をみてみたところ、LPSによる効果は認められなかった。これらの結果から、卵胞膜細胞におけるLPSの効果として、1)プロジェステロンおよびアンドロステンジオン産生を抑制すること、2)関連酵素群の遺伝子発現も抑制することが明らかとなった。
以上のことから、子宮内膜炎の牛では、LPSが卵胞内に到達し、卵胞構成細胞である卵胞膜細胞の機能を阻害している可能性が示されたと同時に、LPSは直接卵胞機能に影響していることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究計画に沿って研究が進められていると考えられる。

今後の研究の推進方策

卵胞構成細胞である顆粒層細胞および卵胞膜細胞が、排卵後に分化する黄体細胞形成過程におけるLPSの影響を順次解析するとともに、顆粒層細胞および卵胞膜細胞におけるLPSに対する特異的遺伝子の解析を進めていく。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Interleukin-8 stimulates progesterone production via MEK pathway in ovarian theca cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Shimizu, T., Imamura, E., Magata, F., Murayama, C., Miyamoto, A.
    • 雑誌名

      Molecular and Cellular Biochemistry

      巻: 374 ページ: 157-161

    • DOI

      10.1007/s11010-012-1515-4.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of lipopolysaccharide (LPS) and peptidoglycan (PGN) on estradiol production in bovine granulosa cells from small and large follicles.2012

    • 著者名/発表者名
      Shimizu, T., Miyauchi, K., Shirasuna, K., Bollwein, H., Murayama, C., Miyamoto, A.
    • 雑誌名

      Toxicology In Vitro

      巻: 26 ページ: 1134-1142

    • DOI

      10.1016/j.tiv.2012.06.014.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Escherichia coli lipopolysaccharide administration transiently suppresses luteal structure and function in diestrous cows.2012

    • 著者名/発表者名
      Herzog K, Strüve K, Kastelic JP, Piechotta M, Ulbrich SE, Pfarrer C, Shirasuna K, Shimizu T, Miyamoto A, Bollwein H.
    • 雑誌名

      Reproduction

      巻: 144 ページ: 467-476

    • DOI

      10.1530/REP-12-0138.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Gene expressions in the persistent corpus luteum of postpartum dairy cows: distinct profiles from the corpora lutea of the estrous cycle and pregnancy.2012

    • 著者名/発表者名
      Magata F, Shirasuna K, Strüve K, Herzog K, Shimizu T, Bollwein H, Miyamoto A.
    • 雑誌名

      Journal of Reproduction and Development

      巻: 58 ページ: 445-452

    • 査読あり
  • [学会発表] 免疫機能関連因子の一塩基多型(SNP)が乳牛の繁殖性及び免疫機能に与える影響2012

    • 著者名/発表者名
      川崎友里絵、青木祐歌、眞方文絵、宮本明夫、白砂孔明、清水隆
    • 学会等名
      日本繁殖生物学会
    • 発表場所
      筑波大学
    • 年月日
      20120906-20120908

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公開日: 2014-07-24  

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