分娩後に起こる周産期病の一つである子宮内膜炎を患った乳牛では、卵巣機能や子宮機能の低下が認められ受胎率が極めて低い。その要因の一つとして死滅した感染細菌から放出されるリポポリサッカライド(LPS)の関与が上げられる。本研究では,子宮内膜炎のウシ卵巣内卵胞の各発育段階の卵胞液中にLPSが存在し,高いLPS濃度(>0.5 EU/ml)と低いLPS濃度(<0.5 EU/ml)の卵胞が存在することがわかった。特に,高LPS卵胞では繁殖に必須のステロイドホルモンの産生が抑制されていた。これらのことから,子宮内膜炎による繁殖性の低下は,LPSによる卵胞機能の抑制である可能性が示唆された。
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