研究課題/領域番号 |
23580384
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
澤井 健 岩手大学, 農学部, 助教 (90390864)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 発生工学 / 遺伝子発現 / 初期胚 / ウシ / 体外受精 |
研究概要 |
ウシ体外受精(IVF)胚において体外発生培地へ添加した成長因子(GF)が胚発生およびアポトーシスへおよぼす影響を明らかにすることを目的に、GFを添加した場合のウシIVF胚における胚発生率、胚盤胞(BC)期胚におけるアポトーシス陽性細胞数およびアポトーシス関連遺伝子の発現動態を検討した。IVF6日目に桑実期胚以上に発生した胚の割合およびIVF7日目BC発生率は子牛血清(CS)区と比較してPVA区において有意(P<0.05)に低い値を示した。IVF8日目BC発生率はCS区において有意(P<0.05)に高い値を示した。また、牛血清アルブミン(BSA)区においてはIVF7日目と比較してIVF8日目において有意(P<0.05)に低いBC発生率を示した。BC期胚の総細胞数はIVF7日目においてBSA+GF区でPVA区、BSA区と比較して有意(P<0.05)に高い値を示した。アポトーシス陽性細胞の割合はIVF7日目胚でCS区と比較してPVA区で有意(P<0.05)に高い値を示し、IVF8日目胚ではCS区と比較してBSA区で有意(P<0.05)に高い値を示した。アポトーシス抵抗性を示すBcl-XL/Bax発現量比はIVF7日目BC期胚においてCS区に比べBSA+GF区で有意(P<0.05)に高い値を示した。以上の結果から発生培地にGFを添加することによりアポトーシス関連遺伝子発現を変化させ、アポトーシスを抑制することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、ウシ体外受精胚の体外発生培地へ添加するタンパク質成分の違いおよびタンパク質成分添加の有無が、ウシ体外受精胚の発生、アポトーシスにおよぼす影響について明らかにする計画であったが、「研究実績の概要」にも記載した通り、研究計画に従い実験を遂行することができた。さらに、アポトーシス関連遺伝子の発現動態に関する解析も順調に遂行していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は体外発生培地にCS、BSAおよびPVAを添加した条件下でのアポトーシス関連遺伝子発現の制御機構に関してp53遺伝子発現を中心に解析を行うとともに、体外発生培地への新規成分(ホルモン関連など)を添加した場合の体外受精胚の発生、エピジェネティクス動態を検討する。また、平成25年度は、それまでに検討した各発生培養条件がウシ体外受精胚の胚盤胞期以降の発生におよぼす影響を検討するため、アガロースゲル培養による伸長期胚の体外作出や胚移植を用いた検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24および平成25年度の研究実施に必要な新規培養法(アガロースゲル培養)の導入や胚移植に用いるレシピエント牛の確保のため、平成23年度研究費の一部を次年度に繰り越し翌年度以降に予定していた研究費と合わせて使用する。
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