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2012 年度 実施状況報告書

ウシ体外受精胚のエピジェネティクス特性とその制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23580384
研究機関岩手大学

研究代表者

澤井 健  岩手大学, 農学部, 准教授 (90390864)

キーワード発生工学 / 遺伝子発現 / 初期胚 / ウシ / 体外受精
研究概要

本年度の研究は、ウシの体外受精(IVF)胚において体外発生培地に添加した成長因子(IGF-IおよびEGFの組み合わせ添加:GF)が胚発生およびアポトーシスにおよぼす影響を明らかにすることを目的にしている。前年度においてウシIVF胚の発生培地にGFを添加することにより、ウシ初期胚のアポトーシス関連遺伝子の発現が変化し、アポトーシスを抑制することが明らかになっており、本年度は、それらGF添加TALP培地で発生したウシIVF胚のアポトーシス関連遺伝子の発現動態の変化をもたらす機構を明らかにするためp53とその関連遺伝子であるMDM2およびCHD8の発現量をリアルタイムRT-PCR法を用いて検討した。その結果、p53の発現量はIVF8日目胚においてCS(子ウシ血清)添加区に比べBSA(ウシ血清アルブミン)+GF区で有意(P<0.05)に高い値を示した。p53とp53制御に関わるMDM2、CHD8の発現を解析した結果、IVF8日目胚においてp53の発現量はPVA(ポリビニルアルコール)区、PVA+GF区と比べCS区で有意(P<0.05)に高い値を示し、MDM2の発現量はPVA区に比べCS区で有意(P<0.05)に高い値を示した。以上の結果から発生培地にGFを添加することによりp53遺伝子とその関連遺伝子の発現動態が変化しアポトーシス関連遺伝子発現を介してウシIVF胚における胚盤胞期でのアポトーシスを抑制することが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度は、前年度明らかとなったGF添加培地で発生した初期胚のアポトーシス関連遺伝子の変化の機構を明らかにするため、アポトーシス制御遺伝子の発現を制御し、さらに独自の機構でアポトーシスを制御するp53とその関連遺伝子の発現動態を検討する計画であり、「研究実績の概要」にも記載した通り、それら研究計画に従い実験を遂行し結果を得ることができたため。

今後の研究の推進方策

これまでの研究結果より、GFがウシIVF胚のアポトーシス関連遺伝子発現を変化させアポトーシスを抑制することで胚発生率が向上することが明らかとなったので、平成25年度はGFと同様に胚発生およびその遺伝子発現を制御することが考えられるプロジェステロン(P4)の添加がウシIVF胚の発生におよぼす影響を明らかにする予定である。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度も前年度までと同様にウシ胚の培養器材、遺伝子発現解析に関わる器材、試薬等の購入に使用する。さらに、平成25年度はあらたにプロジェステロンが必要となるのでそれら新規試薬の購入に充てる。また、成果の報告等に関わる費用(旅費、論文投稿料等)も見込んでいる。平成25年度においてウシ初期胚発生培地への新たな添加物質を複数種類試すため、その添加物質購入を見越して平成24年度研究費の一部を繰り越し翌年度の研究費と合わせて使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 体外発生培地への成長因子添加はウシ体外受精胚のアポトーシスを抑制する.

    • 著者名/発表者名
      舘山奈江, 櫻井伸行, 熊谷仁, 寺田幸弘, 澤井 健
    • 学会等名
      第15回日本IVF学会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪府)
  • [学会発表] ウシ体細胞クローン胚のエピジェネティクス特性とその人為的制御

    • 著者名/発表者名
      澤井 健
    • 学会等名
      NIAS/NILGS合同シンポジウム「動物生殖技術研究の現状と今後の展望」
    • 発表場所
      エポカルつくば(茨城県)
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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