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2012 年度 実施状況報告書

肝臓に発現する新規リポ蛋白レセプター(LRP12)の機能解析-脂質代謝制御基盤-

研究課題

研究課題/領域番号 23580385
研究機関東京農工大学

研究代表者

佐藤 幹  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20250730)

キーワード鶏 / 肝臓 / リポ蛋白 / 脂質代謝
研究概要

本年度は、前年度に得られた結果を基にして新規リポ蛋白レセプターであるLRP12のリポ蛋白取り込み能を確認するとともに、その代謝的意義を明らかにした。まず、鶏LRP12の全長配列をpIND-V5-Hisにコンストラクトし、CHO-K1細胞に導入して、鶏LRP12発現細胞を確立した。次に、鶏より分離したリポ蛋白質(LDL)をDiIで蛍光ラベルして、鶏LRP12発現細胞と非発現細胞の培地に添加したところ、鶏LRP12発現細胞で蛍光LDLの取り込みが認められた。よって、特殊な構造を持つ鶏LRP12が、LDL受容体として機能していることをはじめて明らかにした。さらに、取り込むリポ蛋白質の種類(VLDL, LDL, remnant)を同様の実験条件で検討したところ、LDLだけではなく、remnantや卵黄前駆物質であるVLDLyも取り込むことが明らかとなった。よって、鶏LRP12はマルチリポ蛋白レセプターとして機能している可能性が示唆された。
次に鶏初代肝細胞を用いて、LDL receptor、LRP1のsiRNAを用いてknockdownした場合、あるいはLRP12をknockdownした場合のリポ蛋白の取り込みを、前述のDiIラベルLDLを用いて検討したところ、肝臓におけるLDLの取り込みには、LRP12とLRP1が大きくかかわっていることが証明され、LRP12の鶏肝臓における重要性を実証した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

脂肪の過剰蓄積(脂肪組織・肝臓)は、ヒト、そして家畜・家禽の脂質代謝異常を引き起こす代謝障害であり、その発現機序の解明と具体的な抑制法の開発が望まれている。本研究の目的は、家禽の脂質代謝の中枢を担う新たな分子であるLDL receptor related protein 12 (LRP12)の同定と、その機能解析を通じて、「脂質代謝の解明とその制御→無駄な飼料エネルギーの節約と脂質代謝障害の予防」という効率的畜産物生産の技術基盤を構築することを目指すことにある。前年度は、計画通り、LRP12分子を遺伝子と蛋白質の両面から同定した。本年度はその機能を、細胞を用いた分子生物学的手法を用いて証明することを試み、LRP12が鶏の肝臓におけるリポ蛋白の取り込みに重要な機能を果たしていることを証明できた。すなわち、当初の計画はすべて実施し、また仮説通りの機能を証明することができた。よって、本事業の進展は順調である。

今後の研究の推進方策

最終年度の次年度は、平成23および24年度に得られた結果を基にして、新規リポ蛋白レセプターであるLRP12の未だ明らかとなっていないLRP12の発現制御の可能性を探る。具体的には、pGL4.10 (Luciferaseがレポーター, Promega)にLRP12 promoterをコンストラクトし、鶏初代肝細胞に導入して、各種栄養素(アミノ酸やビタミン)およびホルモン(性ホルモンやインスリン)に対する応答性を明らかにして、in vivo試験に有効な栄養素を選出する。また、in vivoでLRP12の制御が可能であるかを明らかにする。
以上の計画に用いる実験手法はすでに確立済みであり、これまでと同様に着実に進めていけば、計画の完遂に問題はない。

次年度の研究費の使用計画

次年度は、主に消耗品、具体的には細胞培養用試薬・器具および遺伝子実験用試薬・器具、および動物に経費を使用する。次年度は、プロモーター解析や動物実験に多くの物品費がかかるが、これまでの研究の積み重ねにより、効率的な試験を行うことにより遂行可能であるが、申請者以外では、本経費で上記の研究計画を遂行することは困難であると思われる。また、研究を遂行するための情報収集のため、少額の旅費が発生する。
論文に関しても、次年度には積極的に公表する。

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公開日: 2014-07-24  

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