視床下部-下垂体-甲状腺軸は高等動物の恒常性調節の重要なしくみのひとつである。本研究はニワトリ胚を研究対象として,この軸の構成要素が,ニワトリ胚の発生過程のどの段階で出現し,機能するのかを明らかにすることを目的として研究を行った。その結果,孵卵12日以前から,主に少量の血中甲状腺ホルモンと各臓器の脱ヨード酵素による,各臓器の発生過程での必要に応じた調節が存在しており,大量の血中甲状腺ホルモンが必要な孵化の際には,上位の下垂体からの甲状腺刺激ホルモンによる甲状腺ホルモンの分泌制御が大きな役割を果たしていることを示唆する結果が得られた。
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