研究課題/領域番号 |
23580389
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
塚田 光 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (20343212)
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キーワード | 成長ホルモン / 成長ホルモン受容体 / 成長ホルモン作用 / 精巣 / セルトリ細胞 / ライディッヒ細胞 / 精原細胞 |
研究概要 |
申請者はこれまでに、GH-R 欠損型矮性品種は、体が小さく、足が短い、腹腔内脂肪の蓄積が多いなどの外見的に特異な特徴、インス リン抵抗性の低下、免疫組織重量の減少、免疫機能の減退、腹腔内脂肪の過剰蓄積などの症状が現れることを明らかにした。本申請で は、性成熟が遅延のメカニズムを解明しようと試みる。昨年度、申請者は成長ホルモン受容体欠損鶏における性成熟遅延は低体重に因るものではなく成長ホルモンが未成熟期、精細管発達遅延を引き起こすことを明らかとした。精細管の発達と精巣GHR 発現には負の相関が見られ、間質(ライディッヒ細胞)割合の減少と正の相関を確認し、GHR mRNAが8週齢精巣、特に間質で発現が高いことを示した。この結果を基にマイクロアレーやサブトラクション法を用い成長ホルモン受容体下流に存在する候補遺伝子を示した。これらの遺伝子群のmRNA発現を定量的解析法をもちい網羅的に確認を行っている。いくつかの遺伝子を同定したが、培養実験やその他in vitroの実験は十分ではなく次年度の課題とした。ルシフェラーゼアッセイ、スパーシフトアッセイ、クロマチン免疫沈降法は肝臓を用いた予備実験では良好な結果が得られており、精巣・候補遺伝子を用いた実験を検討中である。さらに、プロテオーム解析により蛋白質レベルで変化する物質を同定し、モノクローナル抗体の作成を行っている。タンパク質の同定にはTOF-MASを用いた。その他、胚操作によるキメラ個体の作出を検討中であり現在、条件設定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
精巣における候補遺伝子をマイクロアレー法、サブトラクション法を用いて探索し、更にタンパク質レベルでもTOF-MAS、モノクローナル抗体によるディファレンシャルディスプレイ法を用いて候補遺伝子の絞り込みを行った。多くの候補遺伝子が得られそれらを現在解析中であり、各種in vitro解析法も確立している。キメラ個体の作出方法も平行して確立中でありおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
in vivo実験にける候補遺伝子の再確認を継続し、顕著な差のある遺伝子を各種in vitro実験に拱試する。おおむね計画書通り進んでいる。また、卵生動物であるニワトリは胚操作が比較的容易に行える動物として古くから知られている、組織特異的成長ホルモン受容体作用の解明のための組織キメラ作出を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度から次年度にかけて行う予定である各種in vitro実験、組織キメラ作出法の確立に必要な実験試薬の使用を計画している。
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