本研究ではプリン誘導体のウシ胚発生に及ぼす影響について検討した。de novo プリン合成を抑制したところ、ウシ胚の胚性ゲノム活性化以前(8細胞期前)では胚発生に影響を与えなかったが、胚性ゲノム活性化後は胚発生が著しく低下した。さらに、この抑制効果はプリン誘導体(アデニン、ヒポキサンチン)の低下により回復することが示された。以上の結果から、胚性ゲノム活性化後はde novoプリン合成は胚発生に必要であることが示唆された。しかしながら過剰なプリン誘導体の存在は発生に悪影響を及ぼす(特にアデニン)ことが明らかとなった。さらに過剰なアデニンは核の断片化を誘起することが示された。
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