研究課題/領域番号 |
23580402
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上野山 賀久 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (70324382)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 性腺刺激ホルモン放出ホルモン / 神経ペプチド / G蛋白質共役型受容体 |
研究概要 |
本研究は、性腺刺激ホルモン放出ホルモン (GnRH) ニューロンに直接作用する神経ペプチドを探索し、新しい繁殖刺激剤の開発に繋がる神経ペプチドを見つけようとする。そこで、GnRHニューロン特異的に緑色蛍光蛋白 (GFP) を発現するトランスジェニックラットを用い、GFP発現ニューロンから電気生理学用の微小ガラスピペットにより細胞質を採取した。採取した細胞10個をプールし、RNAを抽出した後に、少数の細胞からのcDNA合成に特化したキットを用いて、cDNAライブラリを作成した。細胞の採取およびRNA抽出は連携研究者である日本医大の石井助教とともにすすめた。得られるcDNAが極少量であるため、PCRにより増幅して、次世代シークエンサーのサンプルとした。次世代シーケンサーは本学遺伝子実験施設に導入された機器 (アプライドバイオシステムズ社製SOLiD) を用いた。 次世代シーケンサーにより得た配列データを連携研究者の産業技術総合研究所諏訪主幹研究員の協力のもと、産業技術総合研究所のG蛋白質共役型受容体データベース「Sevens」と照合した。その結果、「Sevens」データベース登録されているラットのG蛋白質共役型受容体2334遺伝子のうち、数十種類のG蛋白質共役型受容体がGnRHニューロンに発現することを見いだした。現在、これらの受容体の強制発現細胞の作成に着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度には、次世代シークエンサーによるGnRHニューロンに発現する遺伝子の網羅的解析および解析結果よりG蛋白質共役型受容体の抽出を達成目標とした。上述のように、GFP標識されたGnRHニューロンより次世代シークエンサーのサンプルとなるcDNAライブラリを作成し、次世代シークエンサーにより得られた配列データからのGタンパク質共役型受容体の抽出も完了したので、研究は順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初予定に従って、候補となるG蛋白質共役型受容体をクローニングして、各受容体の強制発現細胞を作出する。受容体に結合する可能性の高い候補神経ペプチドを培養細胞に添加して、細胞内シグナル伝達経路の活性化を調べる。本研究に必要な神経ペプチドの合成は、京都大学薬学部の大石講師 (連携研究者) の協力を得る。こうしたin vitroの実験結果をもとに、GnRHニューロンに直接作用する候補神経ペプチドをラットに投与し、LH分泌を指標として、GnRH分泌におよぼす候補神経ペプチドの作用を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度には次世代シークエンサーに供するサンプルの調整が当初見込より安価にできたために、直接経費の十分の一程度の金額が24年度に使用することとした。なお、候補受容体が多数得られたため、細胞培養関係の消耗品や動物実験の消耗品などにこれらを当てる予定である。
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