研究課題
本研究は、性腺刺激ホルモン放出ホルモン (GnRH) ニューロンに直接作用する神経ペプチドを探索し、新しい繁殖刺激剤の開発につながる神経ペプチドを見つけることを目的とする。23年度に実施した次世代シーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析と、産業技術総合研究所のG蛋白質共役型受容体データベース「Sevens」を用いたバイオインフォマティクス解析により、GnRHニューロンに発現する数十種類のG蛋白質共役型受容体を見いだした。これらの受容体の多くはリガンドがいまだ発見されていないオーファン受容体であったことから、24年度に、発現量の多いG蛋白質共役型受容体の強制発現細胞の作成を進めた。GnRHニューロンに高発現する受容体のひとつに、キスペプチン受容体GPR54が含まれていたことから、まずはGPR54強制発現細胞を作成し、キスペプチンの投与による細胞内シグナル伝達経路の活性化を確認した。続いて、他の受容体の強制発現細胞にもキスペプチンを投与し、その細胞内シグナル伝達経路の活性化を検討したが、これまでのところ、キスペプチンに反応する新規な受容体を見いだしてはいない。引き続き、機能未知な受容体の強制発現細胞の作成を進め、新規な神経ペプチドの発見を目出す。
2: おおむね順調に進展している
平成23年度には、次世代シークエンサーによるGnRHニューロンに発現する遺伝子の網羅的に解析し、数十種類のG蛋白質共役型受容体を見いだした。平成24年度には、候補となるG蛋白質共役型受容体のうち、発現の量の多い受容体の強制発現細胞の作成と細胞内シグナル伝達経路の解析システムの確立に成功した。このように、新規受容体の発見とその解析の中核を担う実験系を確立しており、研究は順調に進展しているといえる。
引き続き、候補となるG蛋白質共役型受容体のクローニングして、各受容体の強制発現細胞を作出する。受容体に結 合する可能性の高い候補神経ペプチドを培養細胞に添加して、細胞内シグナル伝達経路の活性化を調べる。本研究に必要な神経ペプチ ドの合成は、京都大学薬学部の大石講師 (連携研究者) の協力を得る。こうしたin vitroの実験結果をもとに、GnRHニューロンに直接 作用する候補神経ペプチドをラットに投与し、LH分泌を指標として、GnRH分泌におよぼす候補神経ペプチドの作用を明らかにする。
23年度には次世代シークエンサーに供するサンプルの調整が当初見込より安価にできたために、直接経費の5~10%程度の金額が順次繰越されている。なお、候補受容体が多数得られたため、細胞培養関係の消耗品や動物実験の消耗品などにこれらを当てる予定である。
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巻: 未定 ページ: 未定
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