研究課題
本研究は、性腺刺激ホルモン放出ホルモン (GnRH) ニューロンに直接作用する神経ペプチドを探索し、新しい繁殖刺激剤の開発につながる神経ペプチドを見つけることを目的とする。23年度に実施した次世代シーケンサーを用いたトランスクリプトーム解析と、産業技術総合研究所のG蛋白質共役型受容体データベース「Sevens」を用いたバイオインフォマティクス解析により、GnRHニューロンに発現する数十種類のG蛋白質共役型受容体を見いだした。これらの受容体の多くはリガンドがいまだ発見されていないオーファン受容体であったことから、24、25年度に、発現量の多いG蛋白質共役型受容体の強制発現細胞の作成を進めた。GnRHニューロンに高発現する受容体のひとつに、キスペプチン受容体GPR54が含まれていたことから、まずはGPR54強制発現細胞を作成し、キスペプチンの投与による細胞内シグナル伝達経路の活性化を確認した。続いて、他の受容体の強制発現細胞にもキスペプチンなど既知のGnRHへの作用が認められている神経ペプチドを投与し、その細胞内シグナル伝達経 路の活性化を検討した。これまでのところ、発見した新規受容体に作用する既知の神経ペプチドを見いだしてはいないが、こうした結果は、GnRHを制御する新規な神経ペプチドの存在を示唆するものであり、本研究で発見されたリガンドが不明のオーファン受容体の機能解析はGnRHニューロンの制御機能を解明する上で極めて重要な知見となった。また、新生仔期あるいは性成熟期におけるGnRHニューロンの機能調節にかかわる遺伝子発現の網羅的解析などを行った。
すべて 2013
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PLoS One
巻: 8 ページ: e79437
J Reprod Dev
巻: 59 ページ: 479-484