研究課題
常在細菌の制御に深く関わるとされる膜内受容体Toll-like receptor (TLR)の発現と分泌型TLRによる常在細菌制御の基本的メカニズム等についてラットを実験モデルとして研究し,以下の成果を得た。1.上行結腸における常在細菌の優先的な定着部位が腸間膜付着部の腸表面上皮上であること及び同部位におけるTLRの低発現と定着との関係を明らかにするとともに,同部位では腸陰窩内に常在細菌が侵入すると,腸陰窩の微絨毛円柱上皮細胞の増殖亢進や杯細胞の細胞分裂の誘発による粘液産生の増大を伴う防御応答が発動されることを明らかにし,論文公表した。2.パイエル板濾胞付属腸陰窩の濾胞側上皮では,Paneth細胞や杯細胞への分化が抑制されることに加えて,これらの細胞間の移行型が存在することを明らかにし,論文公表した。またパイエル板濾胞被蓋上皮と近傍の腸絨毛の上皮とのTLR-2, -4 及び-9の発現の差異から濾胞被蓋上皮の常在細菌に対する特殊性を明らかにするとともに,TLRリガンドの取り込みの可能性についても明らかにしており,平成26年度中に学会公表する予定である。3.呼吸器系の上皮におけるTLR-1から-9の発現状況及び分泌状況を明らかにし,呼吸器系における微生物の認知機構の特殊性を明らかにし,平成26年度中に学会公表する予定である。4.小腸の腸絨毛上皮から分泌された乳ビ球が上皮直下の門脈血中に入る可能性を超微形態学的に明らかにし,論文公表するとともに,毛細血管内への流入に必要な受容体を特定し,学会発表した。5.消化管全長に付属する外分泌腺における補体成分C3及びC4の分泌部位を特定し,学会発表した。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件)
Anatomical Record
巻: (accepted)
10.1002/ar.22937
The Journal of Veterinary Medical Science
巻: 76 ページ: 未定
10.1292/jvms.14-0026
巻: 75 ページ: 1563-1569
10.1292/jvms.13-0310
巻: 75 ページ: 939-947
10.1292/jvms.13-0036