新規のTh2免疫賦活物質の単離のために、フレンチプレス法による破砕、非イオン性界面活性剤による可溶化法を検討した。旧来の方法では、採取ごとのロット差が大きいため安定した結果が得られなかったことが、従来デブリスとして破棄していた分画に活性物質が存在したことを確認した。同部位は可溶化するには困難があるが、様々な破砕方法の組み合わせの検討、様々な界面活性剤の使用、種々のタンパク分解酵素を用いた検討により、デブリス分画よりの可溶化の道筋を付けられたと思われる。単離に向けての計画が甘かったために、計画していた研究には、届かなかった部分もあるが、本物質の単離、分離精製によって得られる知見を考えると、デブリス分画に研究過程で注目できたことは、非常に意義深いと考える。現在も引き続き可溶化法を検討している。 また、使用可能な物質を用いて検討した結果、同物質は直接腸粘膜上皮に作用して、Th2免疫反応を活性化するのではなく、腸より吸収後リンパ組織に作用してTh2免疫反応を活性化することが明らかとなった。またその結果は、脾臓細胞を用いたin vitroの実験系で確認することが可能となった。 単離に向けてはまだ研究が必要であるが、単離後の成果を考えるに、本研究過程で得られた結果は非常に意義深い。
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