研究課題/領域番号 |
23580408
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
森山 光章 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (20275283)
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研究分担者 |
中村 洋一 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (90180413)
高野 桂 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (50453139)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 / アンモニア / 浮腫 / 肝性脳症 / アストロサイト |
研究概要 |
平成23年度は培養アストロサイトを用いたin vitro実験を行った。Cytotoxic edemaである細胞外高アンモニアモデルを用いて、アストロサイト膨潤時のボリューム調節タンパクの活性および発現の変化を検討した。アンモニア添加によるアストロサイト膨潤時にはイオントランスポーターであるNa+-K+-2Cl-cotransporter 1 (NKCC1) 活性が増加し、この変化にはタンパクの発現増加が伴っていた。タンパクの活性増加のメカニズムとして、アンモニアにより生じたoxidative/nitrosative stressによりタンパクが修飾を受け、タンパク発現が増加することが明らかとなった。これらの変化は、MAPキナーゼ(ERK, JNK, p38MAPK)の各種阻害剤、抗酸化剤であるカタラーゼ、NO合成阻害剤であるL-NAMEやパーオキシナイトライト除去剤である尿酸の処置により抑制され、これらの薬物処置はアンモニアによる細胞膨潤も抑制した。これらの結果から、cytotoxic edemaによる細胞膨潤時には、ボリューム調節タンパクであるNKCC1が活性化すること、さらに、MAPキナーゼ阻害剤や抗酸化剤、NO合成阻害剤、パーオキシナイトライト除去剤の処置によりタンパクの活性化を抑制すると細胞膨潤も抑制しうることが明らかとなり、細胞ボリューム調節タンパクの変化を是正することにより細胞膨潤を抑制しうる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初の計画通りだから。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、前年度に得られたin vitroの結果がin vivoでも当てはまるかどうか検討する。すなわち、肝性脳症モデルラットを作成し、生じる脳浮腫に対して各種阻害剤や抗酸化剤が抑制効果をもつか検討する。雄Wistarラット(adult)にチオアセトアミド(TAA)を投与し、急性肝障害ラットを作出する。TAAラットは高アンモニア血症と神経症状を呈し、肝性脳症モデルとして広く認められている。このラットの大脳皮質のNKCC活性およびタンパク発現を解析する。TAAと同時に抗酸化剤やNO合成阻害剤、パーオキシナイトライト除去剤、NKCC阻害剤を投与したラット脳の浮腫の程度を測定する。これらの検討により、前年度に得られた結果から想定される細胞膨潤の発生機序がin vivoでも同様に当てはまるか否かを明らかにすることができる。
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次年度の研究費の使用計画 |
Adultラットの購入費とタンパク質の活性測定および発現解析に必要な消耗品費に用いる。
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