味覚受容体は当初、舌や口腔粘膜に分布する味蕾の味細胞に発見されたため、Taste Receptorと命名された。しかし味覚受容体は味蕾のみならず、多くの組織に発現している。本研究は、脳、膵臓、腸管など味蕾以外の諸臓器の特定の細胞における、味覚受容体の局在・発現を、免疫組織化学、ウエスタンブロッティングおよびin situ hybridizationにより明らかにした。結果、味覚受容体が体内での糖やアミノ酸の代謝に様々に携わっている事が示唆された。また肥満、糖尿病、加齢などの条件下で、味の感受性が鈍り、味覚受容体のmRNAの発現量も減少する事を、行動学的および定量的PCRにより証明した。
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