研究課題/領域番号 |
23580413
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
滝沢 達也 麻布大学, 獣医学部, 教授 (00247305)
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研究分担者 |
田中 和明 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (50345873)
森田 英利 麻布大学, 獣医学部, 教授 (70257294)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 動物 / 発生・分化 / スピントラップ・EPR / 生体分子 |
研究概要 |
研究代表者らは胎盤における一酸化窒素(NO)産生を直接解析し、同時にNO合成酵素(NOS)の発現を検討報告してきた。しかし、生体におけるNO産生の解析が困難なこともあり、NO産生の調節について不明な点が残されている。本研究では、胎盤におけるNO産生の調節にタンパク質のS-ニトロシル化が関与しているとの仮説の下に、まず、NO産生とNOS発現の全体像を把握し、その後、候補タンパク質のS-ニトロシル化の関与について、実験動物や培養細胞を用いて解析する。 平成23年度は、まず、妊娠ラットから経日的に胎盤組織を採取してNO産生とNOS発現を検討した。NO産生については、直接的な解析が可能な、本研究の特色であるスピントラップ・EPR法を用いて解析した。NOS発現についてはRT-PCRによりmRNAを検出し、さらに免疫組織化学染色により局在を検討した。 妊娠13日から21日のラット胎盤を用いて検討したところ、NO産生は観察した妊娠13日から認められ、妊娠15日に産生ピークを示し、その後、妊娠末期の21日まで徐々に減少した。胎盤には神経組織が認められないことから、次に、3種類のNO合成酵素のうちiNOSとeNOSのmRNA発現について検討した。iNOSとeNOSのmRNAは妊娠13日から21日までともに認められ、eNOSmRNA発現はその期間ほぼ一定であった。一方、iNOSmRNA発現は妊娠15日に産生ピークを示すというNO産生パターンと良く一致していた。また、胎盤におけるNOSタンパク質の局在を観察したところ、血管内皮細胞及び栄養膜細胞で認められた。さらに、予備的に胎盤におけるS-ニトロシル化タンパク質をビオチンスイッチ法で検出したところ、妊娠15日と比較して、妊娠21日では減少する傾向が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した平成23年度の研究計画のうち、ラットを用いた研究計画においては、当初の計画どおり順調に実施できた。さらに、次年度に予定していたS-ニトロシル化タンパク質の検出が予備的に実施できたことから、予定以上に順調に進んでいる。一方、培養系実験がやや遅れ気味であることから、全体としてはおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の研究成果によりラット胎盤におけるNO産生とNOS発現の全体像は把握できたので、昨年度の予備的成果に基づいて、今年度は候補タンパク質のS-ニトロシル化について検討する。 妊娠ラットから胎盤を採取し、ビオチンスイッチ法を用いて、候補タンパク質のS-ニトロシル化を検出するとともに、定量的な評価を試みる。また、子宮胎盤組織において、S-ニトロシル化されたタンパク質の局在を観察する。さらに、培養細胞あるいは胎盤の組織片培養法により、低酸素培養下での検討も含めて、候補タンパク質についてS-ニトロシル化を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の使用計画としては、昨年度と同様、当初の計画通り、主に物品費を中心として研究実施に充当していく計画である。
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