研究課題/領域番号 |
23580415
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
代田 欣二 麻布大学, 獣医学部, 教授 (70147974)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | クリオグロブリン血症 |
研究概要 |
主に免疫応答の異なる系統のマウスを用いてCapillaria hepatic (C. hepatica)実験を行い、以下のの成果を得た。1)CG血症:ICRマウスにおける感染実験により、クリオグロブリン(CG)血症は、モノクロナルなIgMリュウマトイド因子(RF)とIgAから構成される2型混合型CG血症を発症する事を示した。2)系統差:ICRマウス、C57BL(Th1型)、BALB/c(Th2型)マウスを用い実験において、、BALB/cにおいてCG血症の早期発症や重度化が認められ、Th2型免疫反応がCG産生機序に深く関与することを示した。3)CG:感染20日および24日の血清にCGを検出し、ウェスタンブロッティングでIg重鎖mu;鎖を検出した。20日では、CGシングルの強度はBALB>ICR>C57BLで、特にBALB/cで顕著に増加していた。24日ではICR>BALB>C57BLであった。4)血清中のサイトカイン:感染20日のBALB/cでIL-10(Th1)およびIL-4、IL-5、IL-13(Th2)の上昇、24日のC57BLでIL-10(Th1)およびIL-5、IL-13(Th2)上昇を認めた。Th17サイトカインは20日、24日のBALB/c、C57BLでIL-6の上昇を認めた。IL-5は、コントロールで検出されず、ICRでは20日、24日で検出されほぼ同程度であった。C57BLでは24日で上昇していた。BALB/cは20日で顕著に上昇していた。5)抗体産生細胞:BALB/cの脾臓で、IgM+κ+細胞が顕著に増加していた。この細胞は濾胞周囲に分布し、モノクローナルなIgM+κ+細胞の増加が示唆された。6)CGのRF活性:血清RFは20日では全群においてコントロールと比較して上昇していたが、BALB/cマウスにおいてのみ、コントロールと比較して有意な増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の計画通り、主に免疫応答の異なる系統のマウスを用いてCapillaria hepatic (C. hepatica)実験を行い成果を得ることが出来た。1)CG血症:C. hepatica感染実験によるクリオグロブリン(CG)血症は、モノクロナルなIgMリュウマトイド因子(RF)とIgAから構成される2型混合型CG血症を発症する事を示した。2)系統差:ICRマウス、C57BL(Th1型)、BALB/c(Th2型)マウスを用い実験においてTh2型免疫反応がCG産生機序に深く関与することを示した。3)CG血症:感染20日および24日の血清にCGを検出し、20日では、CGシングルの強度はBALB>ICR>C57BLで、特にBALB/cで顕著に増加していた。24日ではICR>BALB>C57BLであった。4)血清中のサイトカイン:感染20日のBALB/cでIL-10(Th1)およびIL-4、IL-5、IL-13(Th2)の上昇、24日のC57BLでIL-10(Th1)およびIL-5、IL-13(Th2)上昇を認めた。Th17サイトカインは20日、24日のBALB/c、C57BLでIL-6の上昇を認めた。IL-5は、コントロールで検出されず、ICRでは20日、24日で検出されほぼ同程度であった。C57BLでは24日で上昇していた。BALB/cは20日で顕著に上昇していた。5)抗体産生細胞:脾臓でモノクロナルなIgM+κ+細胞の増加を示し、この細胞が濾胞周囲に分布している事を明らかにした。6)CGのRF活性:感染後の血清中、糸球体に沈着するCGにRFを活性を証明した。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の計画についてはほぼ順調に実績があり、すでに予備的な実験を行っているが、今後は以下のような取り組みを行う。1.CGを誘導するC. hepatica虫体抗原の解析を実施する。これには糸球体に沈着したCG,血清中のCGと虫体の可溶性抽出物との反応性をウェスタン。ブロッティング法および虫体の凍結切片をターゲットとした蛍光抗体法によるCGの標的分子の解析を行う。2.CG誘導機序の解析を実施るす。本年度、感染マウスの脾臓において、モノクローナルなIgM+κ+細胞の増加が認められ、これらは濾胞周囲に分布していた。次年度は、これらが辺縁帯B細胞(MZB)やB-1細胞にであるか、その増殖にサイトカイン、特にIL-5が関与するかを解析する。3.今年度の実験で誘発されたCG血症性腎症にはほとんど炎症反応が認められず、人と同様の糸球体での反応を惹起するためには、どのような条件が必要かを感染マウスにCGに対する抗体を投与したり、LPSなどの投与を行い病変が修飾出来るかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度の実験結果に基づき、次年度は申請時の当初計画通り虫体抗原の解析とCG産生細胞の性状解析、CG産生細胞誘発機序の解明を中心に実験を行う予定であり、研究費はこれらの解析に必要な免疫実験、分子生物実験試薬と実験消耗品に使用する。
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