研究概要 |
感染マウスにおけるクリオグロブリン(CG)産生細胞の選択的増殖の機序を解明することを目的とし、1.CGを形成するIgMが認識する虫体特異抗原(感染マウス血清およびCGを用いた虫体抗原に対するwestern blottingおよび虫体標本を用いた免疫蛍光法)、2.IgM RF産生細胞の性状(リンパ球マーカーを用いたフローサイトメトリ-および脾臓の免疫蛍光法、単離リンパ球に対する抗原刺激試験)、3.CG産生細胞の増殖促進因子(血中サイトカインのELISA、BALB/cとC57BL/6、IL-5トランスジェニックマウスを用いた虫体抗原刺激実験)、の解析を行った。その結果、CGは虫体特異抗原に対して結合するIgMで構成されることが示された。また、脾臓赤脾髄でμ鎖+κ鎖+CD45R /B220+CD5+のB-1a細胞が増殖しており、単離B-1a細胞は虫体抗原刺激により約1,100bpのIgM可変領域mRNAを発現する細胞群が増殖し、約75kDaの虫体抗原に特異的に結合するIgMの産生を亢進したことから、虫体刺激によって選択的に増殖した脾臓のIgM++ B-1a細胞がCG産生細胞であることが示唆された。さらに、感染後のCG産生および血中IgMRF産生がC57BL/6と比べBALB/cマウスで血中IL-5の上昇を伴って優位に高値を示したこと、虫体抗原刺激によってIL-5トランスジェニックマウスでのみCG血症が惹起されたことから、感染によるTh2免疫応答は、IL5を上昇させるために重要であり、CG血症の進行に必須の因子はIL5であることが示された。 また、本モデルでは虫卵接種後24日以降に血中CG量が減弱することにから、IgM RF産生B-1a細胞の増殖抑制機序に焦点をあて、増殖抑制因子であるStra13の単離B-1a細胞におけるmRNAのRT-PCRを行った。その結果、この抑制機序が可逆的であることが示唆され、虫体の特異抗原がStra13発現制御に関与していることが考えられた。
|