研究課題
オートファジーの活性化は、ミスフォールド蛋白質や細胞内寄生体、不良オルガネラの除去に重要な役割を担っている。これまで同定した食品成分由来の新規オートファジー誘導成分3種のミスフォールド蛋白質の除去効果について、家族性筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因蛋白質であるSOD1を用いて解析した。その結果、野生型SOD1に対しては、安定性を低下させたが、ALS関連変異ミスフォールドSOD1の安定性に影響を及ぼさない事を明らかとなった。マラリアの治療薬クロロキンは、オートファジーを抑制するが、高濃度のクロロキンは、特に安定性の低いミスフォールド蛋白質の発現を顕著に低下させる事に気付き、ミスフォールド蛋白質に由来する難治性疾患への応用に関わる研究を試みた。Pelizaeus-Merzbacher病(PMD)は中枢神経のミエリン膜蛋白質であるPLP1の点変異及び遺伝子重複による引き起こされる疾患で、前者は小胞体ストレスが原因となり、後者はオートファジー不全が示唆されている。私は小胞体ストレス型PMDに対するクロロキンの効果を検証し、クロロキンは翻訳を阻害し小胞体内への蛋白質の過剰な流入を抑制する事により、小胞体ストレスを軽減する事を証明した。期間を通じ、小胞体ストレス型PMDに対するカレーの有効成分であるクルクミンの効果も検討した。クルクミンは、プロテアソーム活性を抑制する事によりオートファジーを活性化する事が知られている。小胞体ストレス蛋白質はプロテアソーム系を介して分解され、培養細胞レベルでは高濃度のクルクミンにより変異PLP1が発現は亢進したが、マウスで治療効果を調べると、マウスの寿命は有為に延長される事を明らかにした。また、ミスフォールド蛋白質による病態に関わる分子機構の研究も進め、小胞体ストレス蛋白質による新たな細胞病態、孤発性ALS病変の主要構成蛋白質TDP-43のミスフォールド化機構の解明に貢献した。
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Experimental Biology and Medicine
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