研究課題/領域番号 |
23580418
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
岡田 啓司 岩手大学, 農学部, 准教授 (60233326)
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キーワード | 子牛 / 第四胃 / カード形成 / 移行免疫 / 超音波検査 / 初乳給与技術 |
研究概要 |
本研究では、新生子牛の健康維持に必須である初乳からの免疫抗体の吸収と、乳汁を胃の中で固めて消化する哺乳子牛特有のカード形成機構の関連性について調べてきた。昨年度の研究から、新生子牛に体重の4%量の初乳を生後5時間以内に自力哺乳させた場合、哺乳2時間後には第四胃の中で初乳がカード形成していることが認められ、初乳哺乳24時間後までに健康維持に必要とされている抗体量(IgG10mg/ml)を吸収していることが明らかになった。そこで本年は、人為的にカード形成を阻害した初乳を用いてカード形成の有無と免疫物質の取り込みの関係を明らかにすることを目的として試験を実施した。給与初乳として、無処理の凝乳する初乳Aと、初乳を酵素処理にて凝乳させ液体成分のみを取り出した後、エネルギー量を統一するために人工ミルクを添加した凝乳しない初乳Bを用いた。新生子牛26頭を用いて、14頭に初乳Aを、12頭に初乳Bを給与し、哺乳完了6-12時間後に採血を行い、抗体量を比較した。その結果、初乳Aを給与した子牛ではIgG4.0±2.4mg/ml、初乳Bを給与した子牛ではIgG3.4±1.9mg/mlであり、有意な差は認められなかった。すなわち給与する初乳のカード形成の有無では、抗体量の吸収に差をもたらさないことが明らかになった。今後は、生体のカード形成能に注目して、カード形成状態と抗体吸収量を比較していく予定である。本研究で得られる成果は、哺乳期特有のカード形成機構がどのように制御されているか、また初乳からの免疫抗体の吸収にどのような影響を及ぼしているかを明らかにする新知見であり、新たな子牛の育成技術の確立の一助となることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で示したとおり、初年度に計画した初乳哺乳子牛における第四胃内カード形成と免疫獲得の関係の基礎試験を完了し、第四胃における初乳の凝乳状態と抗体吸収量の基礎データを得ることができた。予備試験から、第四胃内カード形成の人為的コントロールは薬物を使用する予定にしていたが、完全に第四胃のカード形成の阻害ができなかったため、初乳を事前に酵素処理し、カードとホエーに分離し、そのホエーのみを給与することで、カード形成しない場合の免疫獲得を解析する試験を行う対応策を実施した。今後は、生体のカード形成能力に着目し、カード形成の制御機構の解明と、それに伴う免疫抗体の吸収について解明していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い、初乳でカード形成し、その結果充分な抗体量を確保できることが明らかになった。その後、カード形成の有無が初乳からの免疫抗体の吸収に及ぼす影響を明らかにする目的で研究を進めてきた。当初の計画では、薬物を用いて子牛の第四胃内カード形成の人為的コントロールを行い、免疫抗体の吸収量を比較する試験を計画していたが、予備試験から、薬物の効果を示すまでに時間がかかることが明らかになり、初回の初乳給与の影響を調べる試験には適していないことが明らかになった。そこで、対応策として用意していた初乳を事前に酵素処理し、カードとホエーに分離し、そのホエーのみを給与することで、カード形成しない場合の免疫獲得を解析する試験を実施した。その結果、給与する初乳のカード形成の有無では、免疫抗体の吸収量に有意な差が認められなかった。今後は、子牛のカード形成能力に注目して、カード形成がどのように制御されているかを明らかにしたうえで、採取済みサンプルの生化学的分析を行い、初乳給与プログラムを含めた新生子牛の管理育成技術プログラムを考案していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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