研究課題
沖縄県のマングース63頭,イリオモテヤマネコ18頭,長崎県のツシマヤマネコ15頭,千葉県および神奈川県のハクビシン50頭(千葉県;26頭,神奈川県;24頭)からBartonella属菌の分離を試みた。沖縄県のマングースの15.9%(10/63)および千葉県のハクビシンの3.8%(1/26)からBartonella属菌が分離され,その血中菌数はそれぞれ3.0101~8.9103CFU/ml,7.0103CFU/mlであった。一方,2種のヤマネコからBartonella属菌は分離されなかった。マングース・ハクビシン分離株の遺伝子解析の結果,遺伝子解析の結果,各陽性個体から分離した11株全てがCSDの病原菌であるB. henselaeと同定された(相同性99.6~100%)。MST解析では,マングース・ハクビシン分離株と今回解析した日本のネコ由来株は8つに型別され,全ての株が日本のCSD患者由来株と同じ系統であった。マングース分離株の2株は沖縄のネコ由来の2株と,他の2株はCSD患者由来の8株と同じMST型であったことから,マングース-ネコ間におけるB. henselaeの伝播が起きているとともに,マングースとハクビシンはCSDの新たな感染源となる可能性が示唆された。捕獲した15頭の野生のニホンザルの4頭(26.7%)から塹壕熱の病原体であるBartonella quintanaが分離された。各個体の血中菌数は50~12,000CFU/ml(平均 525CFU/ml)と,高い菌血症状態であったにもかかわらず,無症状であったことから,ニホンザルは本菌の自然病原巣の一つである可能性が示唆された。また,分離株の遺伝子解析の結果,ヒトおよびサルの種類ごとに独自の遺伝子性状を有するB. quintanaが分布することやニホンザルには固有のB. quintanaが存在することが明らかとなった。
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