研究課題/領域番号 |
23580430
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
小林 眞理子 (望月 眞理子) 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (50409257)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 元素 / 疫学 / 生体影響 / 疾患モデル / モニタリング |
研究概要 |
1)元素分析に関して:本年度は、震災後の節電要請があったことから大型機器の稼働に支障がでることが懸念された。また、今後集まってくる試料のどの元素に的を絞るかを考察する必要が出てきた。従って、本年度は過去に採取した野鳥とネコの尿の再検討を中心に研究を行った。2)ミトコンドリアDNAによる野鳥の集団分類と汚染との関係に関して:試薬調整などの準備が終了した。今後、分析を進めて元素分析の成績との複合的な解析を行う予定である。3)試料採取:上記の研究と平行して試料採取を行った。新たに収集したウマの蹄および血液、ネコの尿および血液などは現在前処理の段階にある。4)研究成果の発表(学会発表):1)の元素分析に関して第153回獣医学会学術集会にて2題の発表を行った。野生動物を用いた環境モニタリングとして「野鳥の重金属元素汚染に関する疫学調査-11)油汚染を受けたアビ類における元素含量の検討」と飼育動物を用いた健康モニタリング法として「飼育ネコにおける尿中微量元素の分布 2)ケイ素濃度の分布と他元素との関係」の発表を行った。これらの研究において、汚染および健康指標の両者に関して新たな指標となる可能性を持つ元素間の動態を把握することができた。5)研究成果の発表(英文雑誌での発表)現在、上記獣医学会学術集会の野鳥に関する発表は、Journal of wildlife disease(USA)に投稿中である。また、ネコに関する論文もすでに作成を終了している状況にある。英文校閲終了後に、海外の雑誌に投稿を行う予定である。その他、助成を受ける以前の研究で本研究と近い内容のものに関して2011年は、海外英文雑誌6報(受理され現在修正中のもの2報を含む)、英文著作4報の実績をあげた(参考:研究発表の頁)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で使用する装置は、昼夜電源を入れておく必要がある。従って震災後の節電要請を受けて稼働を一時中断した。また、稼働中は約8000℃の温度で化学フレームを保持しなければならない。余震の心配もあったことから、安全面を考慮し装置を再稼働させるのに時間がかかった。以上を理由として、研究は予定よりもやや遅れている状況にある。現在、装置のメンテナンスも終了し、使用を再開したので遅れは十分取り戻せるものと思われる。また、本年度の電力事情も不確定要素が多いので、安定した供給が見込まれる夏前までになるべく多くの分析を行い、遅れがないように努めたい。
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今後の研究の推進方策 |
1)元素分析:引き続き入手可能な野生動物(日本サル、野鳥)および飼育動物(愛玩動物、ウマ)由来の各種試料(毛、蹄、血液、尿、臓器など)の採取に努め、これらの分析を進める。また、ヒトの尿試料の入手が可能となりそうである。従って、疫学的な情報がより充実しているヒトの成績と各種動物より得られた成績を比較検討することで、種差を超えて用いることが可能な指標の作成に努める。2)DNAおよび他の生化学的データとの統合:前年度の研究における過程において、疾病を持つ動物由来の試料を入手する過程において、種々な生化学的データも合わせて入手することができた。また、引き続きミトコンドリアDNAによる野鳥集団の分類も合わせて行い、これらを元素分析の成績と統合していくことで、より詳細な検討を行うことを視野に入れている。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き試料採取を中心に行う。従ってそれに使用する容器、注射などの物品費および場合によってはサンプリングのための移動費などを使用する予定である。また、同時に分析を進めていくのでそれに必要なガス代、各種試薬の代金などを使用する予定である。また、順調に成果を学会発表および雑誌への投稿がなされているので、学会への参加に関係する出費および論文投稿に必要な英文校閲代金をはじめとする投稿に関係する出費が予想される。他方、DNA解析に関しては、引き続き研究の補助を依頼したので謝金などの出費もあると思われる。
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