研究課題/領域番号 |
23580431
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
代田 眞理子 麻布大学, 獣医学部, 教授 (40426424)
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研究分担者 |
代田 欣二 麻布大学, 獣医学部, 教授 (70147974)
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キーワード | 卵巣毒性評価 / レーザーマイクロダイセクション / ABCトランスポーター / 時間分解PCR / 卵胞発育 |
研究概要 |
外来性化学物質に内在する卵巣毒性は、女性の健康を脅かす重大な危害因子のひとつである。本研究は、発育段階の異なる卵胞からレーザーマイクロダイセクション(LMD)により卵胞の顆粒層細胞層を採取し、そこに発現する遺伝子を時間分解PCR装置で定量解析し、また、遺伝子産物の局在を免疫組織化学により明らかにすることにより、卵胞の発育に伴うこれらの分子の消長を明らかにし、卵巣毒性発現メカニズム解明のための科学的知見を蓄積しようとするものである。第2年度である平成24年度は、初年度に続き成熟ラット卵巣のRT-PCRを行い、卵巣には少なくとも三種のATP-binding cassette (ABC)トランスポーターサブファミリー遺伝子が発現していることが明らかになり、これらを解析対象に選定した。次に、LMDで採取する卵巣組織を選定するために、卵胞発育の進行ならびに黄体形成に伴うこれらの遺伝子あるいは遺伝子産物の卵巣における発現を検討した。検討には性腺刺激ホルモンを投与して卵胞発育を促し、投与3日後に自然排卵する幼若雌ラットモデルを用い、性腺刺激ホルモン投与後経日的に両側卵巣を採取して、一側は時間分解PCRによるこれら三種のサブファミリーをコードするmRNAの定量に供し、対側の卵巣はこれらサブファミリーの間でアミノ酸配列の相同性が高いC末端をエピトープトする抗体による免疫組織化学に供した。卵胞発育から排卵後の黄体形成にいたるまでの各遺伝子の発現動態ならびに免疫組織化学の成績から、卵巣における発現部位が遺伝子間で異なる可能性が示唆され、LMDと合わせてin situ hybridization により発現部位を確認すること、ならびにLMDによる採取対象に黄体も加えることにより、新たな知見が得られるものと期待された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度は研究を加速して初年度の遅れを回復し、当初計画まで概ね到達したが、当初計画で平成24年度に予定していたLMDは着手に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
LMD実施のために幼若ラットに性腺刺激ホルモンを投与して卵巣組織を追加採取し、前胞状卵胞および胞状卵胞の顆粒層細胞層ならびに新生黄体をLMDで採取し、解析対象に選定した三種のABCトランスポーターサブファミリー遺伝子を時間分解PCRにより定量する。また、平成24年度に準備した標識プローブを用いて、in situ hybridizationを行い、定量結果を確認する。既に得られている研究成果を学会で発表するとともに学術誌に投稿し、研究報告を作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
LMD、遺伝子定量解析、ならびにin situ hybridizationに必要とされる試薬類は平成24年度までに準備をほぼ終えているので、最終年度である平成25年度は主として実験動物の購入、学会発表の旅費、投稿費用ならびに報告書作成に使用する予定である。
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