研究課題/領域番号 |
23580433
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研究機関 | 北海道立衛生研究所 |
研究代表者 |
八木 欣平 北海道立衛生研究所, 感染症部, 部長 (70414323)
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研究分担者 |
奥 祐三郎 鳥取大学, 農学部, 教授 (60133716)
松本 淳 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (70296169)
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キーワード | エキノコックス / ワクチン / 人獣共通感染症 / 多包虫症 / 寄生虫 |
研究概要 |
エキノコックス症は、有効な治療薬のない致死的寄生虫性疾患で、本邦では北海道での発生が常在化している。北海道では年間15-20名の新規ヒト患者が報告される状況が続き、野生キツネの40%がエキノコックスに感染していることが明らかにされ、住民は感染の脅威にさらされている。しかしながら、本症に対する有効な対策を講じる上での必要な学術的検討は、安全に実験を行う施設が限られていることなどの理由から、十分に遂行されていない。 これまでの研究により我々は、感染実験によって得られた成虫よりcDNA ライブラリを作製し、中間宿主に有効なワクチン候補蛋白の探索を行い、新規蛋白質EMY162及びtetraspanin蛋白による免疫が感染防御として有効に働くことを明らかにした。本研究の初年度では、このうちtetraspanin蛋白を用いた鼻腔への粘膜免疫が有効であることを示した。また、中間宿主ワクチンの適応のために、感受性と抵抗性の近交系マウスを用いた実験を行い、将来のワクチン適用における遺伝的情報の解析の重要性を示した。二年度は中間宿主へより有効な免疫を行うため、アジュバント効果が報告されているヨーネ菌のfibronectin-attachiment protein(FAP)との融合蛋白を用いた免疫について検討を行い、その有効性を示した。最終年度は終宿主動物であるイヌのワクチン開発について検討を行った。すなわち、エキノコックスに感染させたイヌから血清および腸管拭い液を採取し、二次元ウェスタンブロット(2D-WB)法によりこれらの検体に反応する抗原を選択、精製した。この抗原を用いて粘膜アジュバントと共に4回経鼻および3回経口免疫を行い、実験感染後、腸管内に寄生する成虫の数を測定することで、感染防御効果を調べたところ、免疫したイヌは、寄生定着数の有意な減少を示した(論文1および学会発表1)。
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