研究課題/領域番号 |
23580436
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
滝口 満喜 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 教授 (70261336)
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研究分担者 |
山崎 真大 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 准教授 (40322846)
大田 寛 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 助教 (50431333)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 造影超音波検査 / 膵臓 / 犬 / 膵炎 / ソナゾイド |
研究概要 |
本研究の目的は、伴侶動物における超音波検査による客観的病態診断の確立に向けた基盤を形成し、その臨床応用の進展を検討することである。平成23年度はソナゾイド造影超音波検査の臨床応用の適用拡大を目的として、未だに診断が困難な膵炎に着目し、実験的に作出した急性膵炎モデルにおける造影超音波検査所見を解析して膵臓の血流変化に着目した診断基準を確立することを目指した。 ビーグル犬6頭を用い、セルレインを持続静脈内投与することで浮腫性膵炎を誘発した。右腎頭側の膵臓右葉に関心領域を設定し、ソナゾイド0.01ml/kg静脈内投与後のエコー輝度の変化を経時的に記録し、Time intensity curveを作成した。コントロールには同一個体の生理食塩水を投与して得られたTime intensity curveを用いた。 ソナゾイドのボーラス投与では膵臓の至適観察時間が16秒と短かったため、ソナゾイドを0.05 ml/kgで持続点滴することで観察時間を150秒に大幅に延長させる造影検査法を確立した。また、セルレイン誘発浮腫性膵炎では膵実質のエコー輝度のピークに達するまでの時間が短縮し、最高輝度が上昇することが明らかとなった。 これまで犬の膵臓の造影超音波検査に関する報告は皆無であり、本研究は造影超音波検査を犬の膵臓の評価に応用したはじめての研究である。今年度の研究成果によって、犬の膵臓の造影超音波検査法が確立され、実験的に作出した浮腫性膵炎における膵臓の灌流状態の変化の特徴が明らかとなったことは、今後の臨床例での解析に向けてその礎を築いた点でその意義は大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は実験動物を用いた解析と臨床例における検討の大きく二つの領域から構成される。当初の研究実施計画において、平成23年度はソナゾイド造影超音波検査の臨床応用の適用拡大を目的として、未だに診断が困難な膵炎に着目し、実験的に作出した急性膵炎モデルにおける造影超音波検査所見を解析して膵臓の血流変化に着目した診断基準を確立することを目指していた。この意味において、ビーグル犬を用いた実験的急性膵炎モデルでの解析は終了し、研究はおおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、まず平成23年度に行ったビーグル犬を用いた実験的急性膵炎モデルでの解析結果を早々に論文にまとめ学術雑誌に投稿する予定である。また本研究のもう一つの領域である臨床例における検討については、動物病院に来院する膵炎を含む様々な疾患の症例に造影超音波検査を適用し、画像情報を集積することで疾患特異的な画像所見の発見につとめたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は配分経費のうち320,230円の残額が生じた。その主な理由は実験動物(ビーグル犬)の購入費用が予想額を下回ったことと、旅費を節約した結果である。この残額については平成24年度に国際獣医放射線学会(トルコ、ブルサ、6日間)において平成23年度の研究成果を発表するため、その参加旅費(大学院生と2名)に大方を使用する予定である。したがって平成24年度の研究費の使用計画は、物品費720230円、旅費60万円、人件費・謝金10万円、その他10万円の予定である。
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