イヌの炎症性腸疾患(IBD)の病態を解明する目的で,ヒトのIBDの病態に関与があり,治療への応用の報告のある因子のうち,特にtumor necrosis factor (TNF)-αに着目し,イヌの腸管組織における発現量,発現分布について検討をおこなった。イヌのIBDでは,健常なイヌとくらべ,TNF-αの発現量は低下していたが,TNF受容体(TNFR1)の発現は高値を示した。イヌの消化管免疫におけるTNF-αは,炎症を促進するよりも,炎症を制御する機構に重要な役割がある可能性が示唆され,ヒトとイヌとの免疫応答に違いがある可能性も示唆された。
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