研究課題/領域番号 |
23580451
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
落合 秀治 麻布大学, 付置研究所, 准教授 (20247307)
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研究分担者 |
水谷 哲也 国立感染症研究所, その他部局等, その他 (70281681)
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キーワード | ウイルス / 産業動物 / 迅速検出 |
研究概要 |
本年度は新規ウイルスを探索するために、次世代型シークエンサーを用いた解析を実施した。沖縄のヤギの下痢便(2検体:検体名G1、G2)について、イルミナ社のMiSeqでメタゲノム解析をおこなった。本解析で得られたリード数は、検体G1で3,280,164、G2で3,390,671であった。これらのリード数は次世代型シークエンサーの反応が正しくおこなわれたことを示している。ここからコンティグを作成し下痢便中に含まれる主な病原体の探索を試みた。G1からは1387コンティグ、G2からは73コンティグが得られた。これらのコンティグをBlastを用いてウイルスや細菌への相同性について検索した。検体G1からはPorcine enterovirus B、Possum enterovirus W1、Human enterovirus A、Bovine enterovirusなどのエンテロウイルスに相同性のあるコンティグが含まれていることが明らかになった。一方、検体G2からはClostridium subterminale、Clostridium baratii、Clostridium perfringens、Bacteroides fragilis、Bacteroides helcogenesなどの細菌のゲノムに相同性のあるコンティグが含まれていた。また、G1にはErysipelothrix rhusiopathiae、Escherichia coli O157、Helicobacter pyloriにやや相同性を有するものもあった。なお、G2からはウイルス様遺伝子は検出されなかった。本年度の研究により、G1のエンテロ様ウイルスについてはヤギの下痢の原因になっている可能性が高いと考えられた。このエンテロ様ウイルスは新規ウイルスの可能性があり、今後検討をおこなう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において、ヤギの下痢便から新規エンテロウイルスが検出された可能性があり、目的を達成していると考えている。ウシでは教科書では、エンテロウイルスは下痢の原因とされているが、実際に下痢の原因か否かは不明である。本研究ではヤギの下痢便からエンテロウイルス様遺伝子が検出されたことから、このウイルスが原因であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はさらにヤギのエンテロ様ウイルスの全ゲノム塩基配列を決定する試みをおこないたい。また、本ウイルスの迅速診断系を確立し、ヤギについての疫学調査を実施して、本ウイルスの感染浸潤度を検討したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本ウイルスについて、ウイルス分離を試み、次世代型シークエンサーによる全ゲノム解析をおこなうための試薬費、疫学調査のための旅費、試薬費が必要である。
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