研究課題/領域番号 |
23580452
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大井 俊彦 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40223713)
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研究分担者 |
田口 精一 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70216828)
松本 謙一郎 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80360642)
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キーワード | バイオプラスチック / バイオポリエステル / 非可食バイオマス / 微生物工場 / バイオマス / 酵素糖化 / 乳酸ポリマー |
研究概要 |
これまで純粋なグルコースとキシロースおよびの両単糖混合糖液を炭素源とすることで、我々が開発した乳酸ポリマー生合成に関連した遺伝子群を装備した微生物工場は正常に作動し、乳酸ポリマーを製造することが可能であった昨年度の成果から、非可食植物バイオマスから脱リグニン処理したホロセルロースを糖化して得たグルコースとキシロースを主成分とする混合糖化物を炭素源としてポリマー生産を試みた。バイオマス材料としては稲ワラおよびススキの草本系植物を用いた。風乾した植物体を粉砕した後、脱リグニン処理を行った。その際の収率は乾燥重量ベースで稲ワラからは58%、ススキからは67%であった。脱リグニンして得られたホロセルロースを市販のセルラーゼを用いて酵素糖化した。酵素糖化では髙収率で単糖として回収可能であった。得られた酵素糖化液を炭素源としてポリマー生産可能な組換え大腸菌を培養してポリマー生産を行った。その結果、純粋なグルコースおよびキシロースがほぼ同比率の混合糖液を炭素源とした場合と比較して、同程度のP(3HB)を生産した。また、P(LA-co3HB)を生産させた場合には、純粋糖混合物の場合と比較して若干生産性が低下した。3年間の本研究をまとめると以上のようになる。 初年度は、糖の過分解で生じるフルフラール耐性を持った大腸菌を検索し、使用可能な濃度範囲でポリマー生産性に障害とならない宿主大腸菌LS5218株を選抜できた。 2年目では、作製した微生物工場がキシロースとグルコースだけでなく混合糖液においてもポリマー生産に十分適応可能であることを示した。 最終年度では、実際に植物バイオマスから調製した各種不純物を含む混合糖液においても十分な能力を示すことを明らかにできた。 以上の全ての結果から、本研究目的である非可食バイオマス糖化物を炭素源としたバイオポリエステルを生産するまでの一貫プロセスの開発が達成できた。
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