研究課題/領域番号 |
23580454
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 利次 北見工業大学, 工学部, 准教授 (00390881)
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キーワード | ラッカーゼ / シイタケ / 遺伝子発現ベクター / 漆 / 遺伝子発現系 |
研究概要 |
本研究では、担子菌類の中でも安全性が高く有用性が高い食用担子菌類の効率的な遺伝子導入法を確立すること、及び、ラッカーゼなどの有用遺伝子発現ベクター系を確立することを目的とする。本年度は、シイタケに関する遺伝子導入法の検討、発現ベクター導入株の解析,及び漆ラッカーゼ遺伝子の単離について検討した。 遺伝子導入法に関しては、昨年度検討したエレクロトロポレーターによる裁断菌糸への直接導入法の予備実験結果を踏まえ、電圧1000Vによる裁断菌糸へのシイタケ薬剤耐性遺伝子発現ベクターの導入を試みたが、これまでのところ組換え体は得られていない。そこで、現在、培養菌糸の細胞壁溶解酵素処理条件の検討を行っている。 シイタケ用ベクターとして構成的発現遺伝子(グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子)プロモータと光誘導性遺伝子(チロシナーゼ遺伝子)プロモータを利用したベクターに、シイタケlcc1遺伝子を挿入した pChG-lcc1 と pChT-lcc1 をそれぞれ構築し、PEG-CaCl2 法によって得られた形質転換体に関して解析を行った。その結果、前者ベクター導入株に関して、宿主株よりもラッカーゼ活性の高い組換え株の存在を確認できた。 また、漆からのラッカーゼ遺伝子の単離のために、漆の葉からcDNAとゲノムDNAを調製した。DDBJに登録されている漆ラッカーゼ遺伝子情報をもとに、PCRによる増幅を試みたが、cDNA遺伝子断片は得られなかった。そこで、他の木本植物のラッカーゼ遺伝子情報をもとに、縮重プライマーを新たにデザインして、PCRを行ったところ、遺伝子断片が得られた。得られた断片の配列を決定したところ、既知の漆ラッカーゼ遺伝子と異なることが明らかとなった。今回の結果から、漆には発現時期あるいは発現部位などの異なる複数のラッカーゼ遺伝子が存在することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子導入法の簡便化については、若干遅れ気味であるが、シイタケの発現ベクターに関しては、ラッカーゼ発現の高い組換え体が確認できたことから、進展が認められた。ヒラタケ用のベクター構築に関しては、着手できなかったことから、ベクター構築全体としては若干の遅れが認められた。一方、漆ラッカーゼ遺伝子の単離に関しては、cDNAとgDNA断片を単離でき、一部配列を確認できたことから進展が認められた。総合して考えると、おおむね順調に進展している、と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
エレクトロポレーターによる遺伝子導入条件に関しては、細胞壁溶解酵素処理によるプロトプラスト調製条件を検討し、既存のpLG-hph及びpL-Cbxベクター等による遺伝子導入について引き続き検討する。また、得られた組換え体に関して解析を行う。さらに、漆ラッカーゼ遺伝子の単離については、単離できた遺伝子断片情報をもとに、RACE法あるいはゲノムウォーキング法などにより、全長遺伝子の単離について検討する
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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