研究課題/領域番号 |
23580459
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
岩崎 貢三 高知大学, 教育研究部総合科学系, 教授 (40193718)
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研究分担者 |
田中 壮太 高知大学, 教育研究部総合科学系, 教授 (10304669)
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キーワード | 国際情報交換 / ベトナム / ハノイ / 廃棄物処分場 / 水銀 / 農耕地 / 河川底質 / 環境汚染 |
研究概要 |
本研究では,ベトナム・ハノイの廃棄物処分場周辺の農耕地における安全な食料生産のための環境管理対策に資することを目的に,処分場周辺の河川(Cau Lai川)及び農耕地における水銀による汚染実態を把握することを目的とした. 最終年度の平成25年度は,採取済み試料の分析を継続するとともに,これまでに得られたデータを補強することを目的に,台風の影響で採取できなかった廃棄物処分場直近を含むCau Lai川沿いの野菜畑で,土壌,作物葉(サツマイモ,カボチャ,キャベツ等)を採取し水銀含有率の分析を行なった.その結果,調査圃場の処分場からの距離にかかわらず,いずれの作物葉の水銀含有率も,0.010~0.015 mg/kg(乾物)の範囲にあった.この値を農業環境技術研究所による報告値と比較すると「中」程度に相当することから,調査圃場の作物については,水銀汚染は認められなかった.また,これらの圃場で採取した大気についても汚染は認められなかった.一方,平成23,24年度に得られた研究成果について,ハノイ科学大学でセミナーを開催して報告し,ベトナムにおける廃棄物処分方法の改善,汚染を受けた土壌・底質の修復方法に関して意見交換した. 上記および期間全体の研究成果をまとめると,対象地域では,水銀による作物の汚染は認められないものの,処分場に近い地点で採取した河川底質中の水銀濃度は,処分場から離れた地点の場合よりも高く,廃棄物処分場を点源とする水銀汚染が存在すると考えられ,雨季の洪水等によって流出した埋め立て土壌や浸出水が原因と推察された.また,処分場周辺の河川底質中の水銀の形態別存在量を分析したところ,大部分が土壌有機物画分,残さ画分から検出されたことから,底質中の水銀は,比較的安定な状態にあると推察されたが,メチル水銀の存在が確認されたことから,今後とも処分場周辺のモニタリングが必要と考えられた.
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