研究課題
好塩性蛋白質は、酸性アミノ酸に富み、総電荷がマイナス電荷に偏っていて、この特徴が高い可溶性と変性しても凝集しないで巻き戻る高い構造可逆性を保証している。本研究では、「蛋白質の高可溶化・高機能化・治療薬開発をめざす「可溶化誘導好塩性タグ」の創製」を目的とした。具体的には、(1)好塩性蛋白質の「酸性アミノ酸クラスター配列」を用いて「可溶化誘導好塩性タグ」の開発と(2)高可溶性の好塩性酵素とは「対極」に位置する「難溶性・難分解性アミロイド線維」を好塩性蛋白質から形成させ、さらに「アミロイド可溶化両親媒性様タグ」を開発することを計画した。3年間の主な成果は、1.中度好塩菌由来の金属結合タンパク質の大量生産と、その金属結合タンパク質の配列から「タンパク質の可溶化力と金属結合力」を持った「アフィニティタグと可溶化誘導好塩性タグ」の両者を兼ね備えた50-70残基からなるペプチドタグの分離、2.Brevibacillus choshinensisという新しい発現系を導入し、好塩性β-ラクタマーゼ (Bla) 融合タンパク発現法を適用して、次世代型抗体分子フラグメント(1本鎖抗体scFv)の発現・性質検討に成功、3.超可溶性の上記好塩性金属結合タンパク質やBlaを用いて、規則的タンパク質凝集体であるアミロイド線維の形成条件と形成メカニズム解析、などである。本年度は、上記2.3.に取り組み、金属結合能の詳細な解析、またモデルペプチド合成によるコア領域の解析を実施した。アミロイド線維形成においても、予想に反して高い効率でアミロイド線維を形成させることができ、高い可溶性をもつタンパク質から非特異的な凝集体を経ずに、純粋なアミロイド線維を形成させることに成功し、アミロイド線維形成メカニズムの新しい面を明らかにすることができた。
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Applied Microbiology and Biotechnology
巻: 97 ページ: 8569-8580.
10.1007/s00253-013-4695-2