免疫老化における老化関連遺伝子の網羅的解析により抽出した遺伝子群についてその機能と加齢に伴う変化について継続して検証を行った。細胞老化評価系の構築については、高齢者より取得したBリンパ球をEBウィルスにより不死化した細胞株において細胞老化に対してSenescence Associated –βガラクトシダーゼ活性(SA-β-gal活性)を指標とした検証系を用いた。さらに、SASP(Senescence associated secretary phenotype)などの指標なども取り入れて検討を行うこととした。その上で、抗原提示マーカーであるHLA-DRとそれ以外の分子(HLA-DQ、HLA-QA)についても発現強度、発現パターン解析を行うこととし、B細胞活性化マーカー等の発現解析についても検討を行う予定であった。しかし、浮遊細胞であるBリンパ球における細胞老化に関わる指標を検出する系においてこれまでの接着細胞系での検出条件は適用が難しく安定した結果は十分得られなかった。そこで主にSASPなどの細胞液性因子の遺伝子発現および液性因子タンパク質発現等の測定に関する条件設定を行った結果、比較的安定した系を得られそうなめどが立った。また網羅的遺伝子解析によって抽出された候補遺伝子(19遺伝子)についてリアルタイムPCRによる発現確認を行い、さらに確実な高齢者と若年者における差異が認められる候補について絞り込みを行った。また、正常細胞における同遺伝子群に関する発現解析を行った。hTERT遺伝子発現抑制安定株の作成も同時に進行していたが、想定していた以上の遺伝子導入および薬剤選択による細胞ダメージが大きいため細胞クローニングが滞っている。今後は老化関連候補遺伝子に関する機能解析を行う上での実験系構築を主眼に研究を推進する。
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