研究課題/領域番号 |
23590004
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
国嶋 崇隆 金沢大学, 薬学系, 教授 (10214975)
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研究分担者 |
山田 耕平 金沢大学, 薬学系, 助教 (40583232)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 標的タンパク質 / 脱水縮合 / 標識化反応 / タンパク質探索 |
研究概要 |
1.優れた第3級アミン触媒部位の開発:第3級アミンが望む触媒能を発現するためには次の二つの性質を同時に有することが必要である。(1)クロロジメトキシトリアジン(CDMT)と速やかに反応しDMT-MMに代表される脱水縮合剤(トリアジニルアンモニウム塩)を高収率で与えること。(2)得られたトリアジニルアンモニウム塩は水中において安定であり、更にカルボン酸とは特異的に且つ速やかに反応しアミド化反応を起こすこと。今年度はこの両方について解明を行い以下の成果を得た。(1)においては、第3級アミンの種類によって反応性は様々であり、CDMTと速やかに反応するものから全く反応しないものまで存在するが、この第3級アミンの反応性を決定する物理的、化学的因子についてはこれまで全く解明されていなかった。これに対し詳細な構造活性相関を検討し、高反応性であるために必須の条件を明らかにした。以上の知見に基づいて開発した界面特異的に進行する反応について一編の論文発表を行った。(2)については(1)の結果に基づいて、脱水縮合能、安定性がともに高い第3級アミン構造を設計・合成し、モデル系における脱水縮合能を指標に絞り込みを行った。さらに開発した触媒部位をリガンドに効率よく導入するために必要な置換基の導入を行い、目的とする機能を有すると期待される触媒ユニットを数種類開発することに成功した。2.標的タンパク質を探索する技術:低濃度かつ微量のタンパク質を探索するために、導入された標識剤を手がかりに標的タンパク質を検出・単離・同定するための技術開発が必要である。そこで種々の標識剤を導入したモデルタンパクを用いて酵素抗体法、アビジンテクノロジーを検討して、ピコグラムレベルでのタンパク質の高感度検出法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績の概要に記したとおり今年度の研究の中心である触媒部位の開発では当初の予定よりはるかに優れた結果を得ることに成功した。特に本反応系における第3級アミンの構造活性相関については、世界でまだ誰も解明に成功していないことから、得られた成果は、本研究課題の目的にとどまらず、脱水縮合反応における学術的に重要な知見となると思われ、波及効果が高いと期待される。一方、タンパク質の検出についても実践的なタンパク濃度における検出限界に対応できる高感度検出法の開発に成功した。以上は、24年度に予定している研究を実施するために十分な成果であり、これらが年度内に全て完了したため順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果に基づいて実際の薬物リガンドに触媒部位を導入し、種々のタンパク質の特異的標識化を行う。また、無数のタンパク質を含む細胞抽出画分に対して標識化を行い、高感度検出法を用いてその標識化タンパクの特定法を確立する。今年度は、モデル系を用いた触媒部位の開発では、予想以上の実験を行い期待以上の成果が出たが、これにかかる試薬や反応物はもともと高価ではなく、成果の割に消耗品を使用する必要がなかった。高感度検出法においては、蛍光色素、抗体など高価な試薬が必要であり、これらの試薬を多種多様に用いるために消耗品を多く計上した。しかし、期待以上にうまく検出する方法が見つかったため、成果の割に経費がかさむことがなかった。
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次年度の研究費の使用計画 |
薬物リガンドの調製:実際に医薬品などの生理活性物質、およびその原料、さらにここからの構造変換を行うにあたり、今年度より消耗品費が必要と考えられる。モデル系における実践的なタンパク検出:シクロオキシゲナーゼをはじめとする各種タンパク質、これらの検出に必要な抗体、さらに細胞抽出画分などを用いるが、これらはいずれも高価であるため、研究が進むほど消耗品費がかさむと考えられる。以上より今年度未使用となった経費が次年度の研究を展開するのに消耗品費として必要である。
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