研究課題/領域番号 |
23590004
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
国嶋 崇隆 金沢大学, 薬学系, 教授 (10214975)
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研究分担者 |
山田 耕平 金沢大学, 薬学系, 助教 (40583232)
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キーワード | 標的タンパク質 / 脱水縮合 / 触媒反応 / 標識化反応 / タンパク質探索 |
研究概要 |
(1)優れた第3級アミン触媒部位の開発:前年度からの継続課題であるクロロジメトキシトリアジン(CDMT)と速やかに反応し脱水縮合剤DMT-Amを形成する第3級アミンの構造活性相関研究の結果、窒素電子対に対するβ-ゴーシュ置換基の立体効果が主たる因子であることを明らかにした。また、触媒系においてもこの効果によって反応が制御されることを証明し、これらの成果を一編の論文として発表した。 (2)また、立体環境が同じ3級アミンではその塩基性が触媒能を左右する鍵となることを見出し、さらに反応系に生ずる塩酸の中和剤や溶媒が反応生成物の収率に影響を及ぼすことを明らかにした。この成果については近日中に投稿予定である。以上の成果に基づいて、水中で効果的に機能するための3級アミン触媒部位について、立体環境と塩基性の両面から最適構造の探索を行い、有力な官能基を見出した。本成果については現在投稿準備中である。 (3)また、本課題の本来の目的からはずれるものの、上記研究の中で合わせて得られた知見(トリアジン類の反応性解明、水中脱水縮合反応機構の解明等)から、新しいベンジル化剤、3級アミンの効果的な脱離反応、更に水中での効果的オキサゾロン合成法などを開発し、これらの派生的な成果を学会発表および3編の論文として発表した。 (4)薬物標的タンパク質を探索する技術:低濃度かつ微量のタンパク質を探索するために、導入された標識剤を手がかりに標的タンパク質を検出・単離・同定するための技術開発が必要である。前年度までにこの目的に必須の高感度検出法を確立したので、この技術を用いて、まず細胞抽出画分においてモデル化合物となる薬物標的タンパク質の特異的な標識化とその検出に成功した。また、更に進んで2次元電気泳動によるタンパク質探索を行い、未知の薬物標的タンパク質の標識化を認めるに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績の概要に記したとおり昨年度から今年度にかけて行った研究の中心である触媒部位の開発では、βゴーシュ効果という結論に至り、この仮説を初めて提唱するとともにこの効果が正しいことを実証した。さらに今年度の研究で、立体効果だけでなく酸塩基平衡に基づく触媒機能の解明した成果とともに、本研究課題の目的にとどまらず、脱水縮合反応における学術的に重要な知見を見出すことができた。 一方、この成果に基づいて立体効果、酸塩基効果の両面から薬物標的タンパク質の標識化に有力な触媒ユニットの探索に成功した。 また、従来型の触媒を用いても、無数とも言えるタンパク質の混合物から高い特異性で標識化が進行し、高感度にこれを検出することに成功した。 更に派生的な研究成果として新しい反応剤の開発などにも成功した。 次年度はこれまで開発した高活性触媒と高感度検出法を用いて実用的なタンパク質標識化・探索技術の確立を行う段階に来たことから、進捗状況は極めて順調で、当初の予定通りであると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果に基づいて実際の薬物リガンドに高活性な触媒部位を導入し、種々のタンパク質の特異的標識化を行う。特に、無数のタンパク質を含む細胞抽出画分に対して、そこに含まれる内因性の標的タンパク質の標識化を行い、高感度検出法を用いてその標識化タンパクの特定法を確立する。また、多量に存在する共雑タンパク質の除去方法についてもあわせて検討する。 今年度は、モデル系を用いた触媒部位の開発では、仮説の検証に重きを置いたため、実験にかかる試薬や反応物は大量に使用する必要がなかった。高感度検出法においては、蛍光色素、抗体など高価な試薬が必要であり、これらの試薬を多種多様に用いるために消耗品を多く計上した。しかし、期待以上にうまく検出する方法が見つかったため、成果の割に経費がかさむことがなかった。
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次年度の研究費の使用計画 |
薬物リガンドの調製:実際に医薬品などの生理活性物質、およびその原料、さらにここからの構造変換を行うにあたり、今年度より消耗品費が必要と考えられる。 モデル系における実践的なタンパク検出:シクロオキシゲナーゼをはじめとする各種タンパク質、これらの検出に必要な抗体、さらに細胞抽出画分などを用いるが、これらはいずれも高価であるため、研究が進むほど消耗品費がかさむと考えられる。特に、2次元電気泳動によるタンパク質の検出、マス解析によるタンパク質の同定、標識位置の特定を予定しているが、これらは依頼測定によるところが大きく、かなりの経費が必要である。 以上より今年度未使用となった経費が次年度の研究を展開するのに消耗品費として必要である。
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