研究課題/領域番号 |
23590008
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山田 耕史 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00253469)
|
キーワード | チューブリン / 抗がん剤 / 海洋無脊椎動物 / 棘皮動物 / ナマコ |
研究概要 |
天然有機化合物を医薬素材として開発するためには、化学構造の単純化と低分子量化が必要である。本申請研究では、九州西岸海域産海洋無脊椎動物由来のチューブリン重合・脱重合阻害物質を新規抗がん剤のシード化合物として開発するために、平成24年度では、前年度に引き続き、活性成分のチューブリン重合・脱重合作用の検討と精密構造解析を下記の手順で行った。 1)単離した活性成分の作用点がチューブリン/微小管であることを確認するために、第二次活性試験として、ヒト線維肉腫細胞 HT1080 の細胞質微小管に対する作用を、抗チューブリン抗体を用いた免疫染色法で解析し、高感度かつ高い特異性をもってチューブリン重合・脱重合への作用を確認した。 2)チューブリン重合・脱重合作用を示すことが認められた成分について、各種機器スペクトル (NMR、MS、IR、UV スペクトル) データならびに化学的手法を用いて、化学構造の解明を行った。 3)構造の明らかになった活性成分について、さらに詳細(定量的)にチューブリン重合・脱重合への作用を調べた。特に、チューブリンの重合/脱重合に影響を及ぼすことが知られているcolchicine、vinblastine、vincristine や taxolを Positive Controlとして用い、活性強度を比較し、Control 物質より顕著な活性を示す成分の検索を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、前年度分離した活性成分のチューブリン重合・脱重合作用の検討と精密構造解析を行うことを目的にして取り組んだ。 現在、様々なタイプの化合物の単離に成功し、それらの作用点がチューブリン/微小管であることを確認するために、第二次活性試験として、ヒト線維肉腫細胞HT1080の細胞質微小管に対する作用を、抗チューブリン抗体を用いた免疫染色法で解析し、高感度かつ高い特異性をもってチューブリン重合・脱重合への作用を確認しつつある。また、同時に、チューブリン重合・脱重合作用を示すことが認められた成分について、各種機器スペクトル (NMR、MS、IR、UV スペクトル) データならびに化学的手法を用いて、化学構造の解明を行っている。更には、構造の明らかになった活性成分について、詳細(定量的)にチューブリン重合・脱重合への作用を調べる準備に取り掛かっている。活性試験には、特に、チューブリンの重合/脱重合に影響を及ぼすことが知られているcolchicine、vinblastine、vincristine や taxolを Positive Controlとして用い、活性強度を比較し、Control 物質より顕著な活性を示す成分の検索を行うことにしている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、前年度得られた活性成分の構造活性相関の検討と活性発現構造単位の解明を行う。 1)得られた活性成分のうち、Control 物質より顕著な活性を示す化合物を出発物質として、その誘導体を調製する。 2)天然由来の成分並びに、調製した誘導体について、HT1080細胞を用いて、チューブリン重合・脱重合への作用を詳細に調べる。 3)得られた結果を基に、構造活性相関の検討と活性発現に必須な構造単位の解明を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
活性成分の精製に必要なHPLC用カラム並びに有機溶媒、活性試験に必要な細胞培養培地、試薬など消耗品に研究費を充てる。 また、成果発表のための論文投稿慮や学会参加のための旅費に充てる。
|