研究概要 |
天然有機化合物を医薬素材として開発するためには、化学構造の単純化と低分子量化が必要である。本申請研究では、九州西岸海域産海洋無脊椎動物由来のチューブリン重合・脱重合阻害物質を新規抗がん剤のシード化合物として開発するために、活性成分の分離、活性成分の構造解明、活性発現に必須な構造単位の解明を行った。研究成果としては、平成25年度は、海綿動物からセラミド類を、一方、マナマコからはセレブロシド分子種を分離することができ、その構造を明らかにしてきた。更に、海洋無脊椎動物から分離した細菌が生産する活性成分の検索を行った結果、Staphylococcus sp の生産物質として、11種のジケトピペラジン誘導体を、チューブリン重合・脱重合阻害物質候補物質として単離することができ、絶対立体構造を含めて、その構造の解明を行った。更に、活性アナログ体開発のための基礎データとして、活性発現に必須な構造単位を解明することを目的として、構造活性相関の評価を行うために必要な数種のアナログ体の合成に着手した。また同時に、環状デプシペプチド類並びにマクロラクトン、更には、indole-3-carboxylic acid 1,3-dideoxy-3-C-methyl arabinitol、thymine、uraci、ケトピペラジン誘導体、phenyl alanine、tryptophane を単離し構造決定することができたので、その活性についても評価を進めている。
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