研究概要 |
著者らの研究グループは、脂肪細胞のTG蓄積を抑制しadiponectinの作用を亢進すると共に、ACAT酵素活性を阻害しマクロファージの泡沫化を抑制する化合物としてursolic acidを同定した。本研究では、ursolic acidの類似化合物をリンゴ搾汁残渣より調製した。また、天然物由来の抽出物スクリーニングより、TG蓄積抑制の認められたハダカホウズキ、マクロファージ泡沫化抑制の観測されたトマト地上部、ナツメ、鹿角霊芝について、詳細な成分検索を行った。先ず、リンゴ搾汁残渣よりcorosolic acidを得、脂肪細胞のTG蓄積抑制活性を検討したところursolic acidと同程度の活性が観測された。また、ハダカホウズキ由来のtubocaposide類にも同様の活性を見出すことが出来た。一方、トマト地上部より、tomatineを精製し、これを加水分解して得たtomatidineについてマクロファージの泡沫化抑制作用を検討した。その結果、ursolic acidと同程度の活性を確認することが出来た。次に、ursolic acidの3位水酸基、28位カルボキシル基の誘導体の調製をナツメに含有するトリテルペノイドの成分検索より行った。得られたトリテルペノイドついて抗泡沫化作用を検討したところ、pomolic acid等に強い作用が認められた。さらに、28位をメチル基、ハイドロキシメチル基に置換したトリテルペノイド類縁体と活性を比較したところ、顕著な活性低下が認められた。よって、28位のカルボキシル基が抗泡沫化作用に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。最後に、分子内にカルボキシル基を有するトリテルペン誘導体を大量に含有する鹿角霊芝より抗泡沫化作用の有効成分の検索を行った。その結果、6種の主要化合物(lucidenic acid A, B, D2, E2, F, Q)を得た。今後、これらの成分について活性を検討する必要がある。
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