研究課題/領域番号 |
23590018
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
熊本 卓哉 武蔵野大学, 薬学研究所, 教授 (50292678)
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キーワード | ロマイビチシン / 抗生物質 / 抗腫瘍活性 / Michael 反応 / Dieckmann 縮合 / 二量化反応 |
研究概要 |
昨年度に合成したBD環部位に相当するモデル化合物に対し,塩基と各種酸化剤との組み合わせによる二量化反応を検討した.モデル化合物に LDA を作用させてリチウムエノラートとしたのち,酸化剤として FeCl3 を作用させたが,目的の二量体を得ることができなかった.別途,ZnCl2 存在下の条件を検討したところ,C環構築の足がかかりとして導入しておいたシアノ基が脱離基として作用し,結果として目的とは別の個所で二量化が進行した化合物を得るにとどまった. 一方,BD環部位構築の別ルートとして,桂皮酸エステルと Danishefsky 型ジエンとの Diels-Alder 反応を検討してきたが,低収率であったため,基質をブテノライド由来のエノラートに変更し,Michael 付加-Dieckmann 縮合連続反応によるD環構築を試みた.その結果,(Z)-桂皮酸エステルを用いた際,Michael 付加体 (71%) と目的の連続反応生成物 (22%) をそれぞれ単一の立体異性体として得ることができた.一方,(E)-桂皮酸エステルを用いた場合,先の Michael 付加体 (27%) と連続反応生成物 (33%) の他,それぞれの立体異性体を 5%,12% で得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度に行った二量化反応の基質合成に続き,実際の二量化反応を検討したが,予測されなかった副反応などにより目的の二量体は現在までに得られておらず,より詳細な検討が必要となっている.また,別ルートでのD環構築の検討が進んでいるもの,端緒を見出した段階であり,いまだ十分な検討は完了していない.
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今後の研究の推進方策 |
モデル化合物を用いた二量化反応は,脱離基となるニトリル置換基の存在が問題となっていいる.そのため,還元処理などによりエステル置換基に変換後,さらなる二量化の検討を行う.また,B環部位を酸素官能基で修飾した基質も合成しており,C環形成によるロマイビチシン基本骨格の構築を目指す. 一方,Michael 付加-Dieckmann 縮合連続反応については,試薬の検討などによる収率改善のほか,不斉配位子存在下でのエナンチオ選択的反応へと展開することにより,不斉合成を目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
学生を含めた研究体制(研究の難易度に見合った知識や技術が当該学生に不足していた)を構築することができず,増員を試みるも要件に見合う研究協力者が得られなかったため,特に二量化反応の基礎実験について実施が大幅に遅れた.特にMichael 付加-Dieckmann 縮合連続反応については,年度末から研究に参画した学生により,多少の進展の兆しがみられる.26年12月には成果を取りまとめ,27年3月の日本薬学会年会で発表を行う予定である. 配属学生の調整を行い,研究体制を整え,研究費を試薬やガラス器具などの消耗品,成果発表のための旅費に充てる予定である.
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