研究課題/領域番号 |
23590019
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
齋藤 直樹 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (80142545)
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研究分担者 |
横屋 正志 明治薬科大学, 薬学部, 助教 (50338539)
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キーワード | イソキノリン / 海洋天然物 / 抗腫瘍活性 / 全合成 / 構造活性相関 / 構造決定 / タイ / フィリピン |
研究概要 |
1.エクチナサイジンを創薬シードとする医薬品開発研究:(1)これまでの研究から活性の増強に効果的であったN-2'-アシル誘導体に着目し、特に電子求引基を持つ誘導体の合成をおこなった。その結果、ピコグラム単位でがん細胞の増殖抑制効果を示す化合物の創製に成功した。これまでの細胞毒性試験結果から、構造活性相関における重要な情報を提供することができた。(2)本系天然物を生産する群体ホヤの極微量二次代謝物としてシンプルイソキノリンアルカロイドの単離に成功し、その純合成による構造決定を行った。 2.レニエラマイシンを創薬シードとする医薬品開発研究:(1)最近達成したレニエラマイシンGの全合成経路をブラシュアップして工程の短縮化などにより総収率の大幅な向上に成功した。(2)フィリピンに生息する青色海綿の二次代謝物として既知レニエラマイシン類とともに新規極微量天然物レニエラマイシンW-Y (RW-RY)の単離・構造解析に成功した。なかでもRYは本系天然物の生合成前駆体とみなすことができる注目すべき構造を有していることが明らかとなった。 3.本系天然物の活性発現に必要な構造単位として三環系ラクタムを想定し、各種C6-C11aシン体とアンチ体の合成をおこなった。さらに、この研究を展開する中で、C3-C4脱水素反応を伴う1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-5,8-ジオンのヒドロキノンジアセタートへのユニークな変換反応を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.エクチナサイジンを創薬シードとする医薬品の開発:①制がん作用を増強するために 修飾すべき構造部分を特定できた。引き続き新たな誘導体を合成し、開発候補化合物を選定し、in vivo試験の実施に向けてその大量合成する計画である。②研究の継続的な展開に必要な海洋天然物の新たな採集が必要となっている。 2.レニエラマイシンを創薬シードとする医薬品の開発:レニエラマイシンGとクリブロスタチン4の全合成経路の開発を行い、C-21位にラクタムカルボニル基を持つ本系天然物を入手することができた。そのin vitro生物活性試験結果からいずれもほとんど制がん活性を示さないことを確認できた。②前者の合成経路を検証し、工程の短縮に成功し、実用的な合成経路を構築することができた。 3.部分構造の合成と新規合成医薬品の開発:①各種三環系ラクタムおよびそのジアステレオマーの一般的合成法を開発した。これらの生物活性試験を展開し、その結果から、研究の進むべき方向性を探りたい。
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今後の研究の推進方策 |
1.エクチナサイジンの活性増強とともに選択毒性の向上による副作用の軽減を目指していきたい。 2.レニエラマイシンGの合成経路を基軸としてレニエラマイシンMの合成により、本化合物の恒久的な供給手段を確立する。すでに予備的な合成経路の開発を達成できたので、本年度はそれぞれの工程を最適化して実用的な供給す段の確立をめざす。 3.フィリピンに生息する青色海綿Xestospongia sp.の極微量二次代謝物として得られた新たなレニエラマイシン類の中に、本系天然物の生合成前駆体と想定可能なものを見出した。これら天然物としての再検索と純合成による安定供給手段の確立と取り込み実験を推進し、生合成経路の解明をめざす。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.物品費(合成原料、試薬、ガラス器具) 600,000円 2.物品費(機器スペクトル測定費、測定溶媒) 100,000円 3.旅費(研究成果公開のための学会参加) 50,000円 4.謝金(学術論文英文校閲) 50,000円 5.その他(論文別刷、通信費、郵送費など) 100,000円
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