1.エクチナサイジンを創薬シードとする医薬品開発研究:各種 2'-N-α、β-不飽和アミド誘導体とフッ素原子を導入した誘導体を合成し、その細胞毒性試験を実施した。その結果、生物活性の向上に成功した。 2.レニエラマイシンを創薬シードとする医薬品開発研究:(1)タイ側協力研究者に依頼して青色海綿Xestospongia sp.を採集し、レニエラマイシンM(3グラム)を新たに獲得し、新たな誘導体約20個を合成した。現在、生物活性試験を実施している。(2)本系天然物の生物活性に関する新たな知見を得るために、2つのパラキノン部が還元された化合物を合成し、この化合物が肺がん細胞のアポトーシス誘導活性を示すことを見出した。 3.本系天然物の部分合成単位の合成と生物活性に関する研究:前年度、合成した左半部ラクタム誘導体がまったく生物活性を示さないことが明らかとなった。そこで、ラクタムを還元的にα-アミノニトリルの替えたモデル化合物を合成し、その細胞毒性を検定したところ、優位に活性を示す化合物を見出した。 4. これまでの研究成果をいくつかの学術雑誌に報告するとともに、昨年10月に台湾で開催されたAIMECS13で報告し、アジア圏の海洋生物が生産するイソキノリン化合物が新規制癌剤の開発候補化合物であることを強くアピールした。
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