研究概要 |
1. 三重結合を有する基質(NuH)にイソセレノシアナートを作用させることにより,生成するセレノール類の分子内三重結合への付加・環化を基盤とする各種複素環合成研究の一環として,これまでの成果をまとめた。(平成24年度の研究成果,雑誌論文;北陸大学紀要, 2012, 36, 1-15.) 2. 上記1.の閉環反応における基質として,一級アミン,二級アミンにつき詳細に検討を加え,アミン類の級数による閉環様式の違いを明らかにした。(平成24年度の研究成果,学会発表;日本薬学会,第42回複素環化学討論会) 3. イソセレノシアナートの作用による生成するセレノールの環化反応において,三重結合から脱離基(ハライド)に変えることにより2-アミノセレナゾール類の効率的な一工程合成法を確立した。(平成24年度の研究成果,学会発表;第25回ヨーロッパ複素環学会) 4. 上記2.の閉環反応をさらに発展させた親電子環化反応(ヨウ素環化)に応用することにより,適当な位置にヨウ素官能基を有する含セレンおよびイオウ複素環合成に成功し,さらに多置換複素環への変換を行った。(平成24年度の研究成果,学会発表;第38回反応と合成の進歩シンポジウム,第39回典型元素化学討論会) 5. 上記1.の閉環反応により得られたイソセレノクロメン類およびイソテルロクロメン類のm-CPBA酸化を行い,新たな酸化反応が進行することを明らかにするとともに,基質の置換基の有無,種類によりその酸化反応の様式に違いがあることも判明した。これにより,ジスチリルジセニド(ジテルリド)類およびメチリデンセレニド(テルリド)類の効率的な合成法になり得ることが分かった。平成24年度の研究成果,雑誌論文;Tetrahedron, 2012, 68, 10502-10509.)
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