研究課題/領域番号 |
23590026
|
研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
井藤 千裕 名城大学, 薬学部, 准教授 (60193497)
|
キーワード | カルバゾールアルカロイド / アポトーシス誘導活性 / ケイヒ酸誘導体 / 抗酸化活性 / ロテノイド誘導体 / NO 産生抑制活性 |
研究概要 |
1、カルバゾールアルカロイドのアポトーシス誘導活性 ミカン科 Murraya euchrestifolia から単離した13種のカルバゾールアルカロイドについて、ヒト前骨髄性白血病由来細胞株 HL60 に対する成長阻害活性試験を実施した。その結果、murrayafoline A および murrayazolinine で処理した細胞では顕著な細胞死が認められ、その効果は処理時間に依存することを認めた。核染色による観察では核の断片を有するアポトーシス細胞の割合が時間依存的に増加した。さらにこれらのアルカロイドは caspase-9/caspase-3 経路を経てアポトーシスを誘導することを証明した。 2、新ケイヒ酸誘導体の単離と抗酸化活性 ミカン科 Citrus meyeri 果実から、新しい trans-4-ヒドロキシケイヒ酸誘導体を単離、各種スペクトルデータからその構造を決定した。この化合物は、分子内にコハク酸無水物の部分構造を有するケイヒ酸誘導体で、天然より単離されたのはこれが初めての例である。また、本化合物は、trans-4-ヒドロキシケイヒ酸よりも高い抗酸化活性を示した。 3、新ロテノイド誘導体の単離と NO 産生抑制活性 マメ科 Derris trifoliate から2種の新しいロテノイド誘導体 derrisfolin A および B を単離・構造決定し、これらを含む 5 種のロテノイド誘導体について、NO 産生抑制活性試験を実施した。その結果、 derrisfolin A は、細胞生存率 90% 以上の条件下、5、10マイクロモルの各濃度においてNO 産生をそれぞれ 51.2 %、32.0 % 抑制することを見出した。この化合物は過剰な NO 産生を抑制することにより、抗炎症作用、さらにはがん予防作用を示すことが期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
連携研究者である小嶋教授・岡本助教に依頼予定のES・iPS細胞分化への作用試験に関しては、現時点でアッセイ系がやっと確立した状況にあるため、当初の予定とは異なり研究計画に遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
ES・iPS細胞分化への作用試験に関しては、確立したアッセイ系用いた各種天然有機化合物のスクリーニングに、今年度、特に力を注いで進めていく予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|