研究概要 |
1、キノリン-2,4-ジオンアルカロイドのアポトーシス誘導活性 ミカン科 Severinia buxifoliaより単離したseveribuxine について、ヒト前骨髄性白血病由来細胞株 HL60 に対する成長阻害活性試験を実施した。Severibuxine で処理した細胞では、顕著な細胞死が認められ、その効果は処理時間に依存することを認めた。また、核染色による観察では核の断片を有するアポトーシス細胞の割合が時間依存的に増加した。さらにseveribuxine はcaspase-9/caspase-3 経路を経てアポトーシスを誘導することを証明した。 2、新規ビフェニル誘導体の単離と含有成分の細胞毒性 オトギリソウ科Garcinia schomburgkianaから2種の新規ビフェニル誘導体を単離、各種スペクトルデータよりその構造を決定した。単離した化合物について、白血病細胞増殖抑制効果を検討したところ、ベンゾフェノンoblongifolin Cに、全ての白血病細胞株において著しい増殖抑制効果が認められた。 3、カルバゾールキノン誘導体の NO 産生抑制活性 Murrayaquinone-Aをリード化合物として合成した3種のカルバゾールキノン誘導体は、LPS/IFN-γ刺激にもとづくNO産生およびPGE2産生を濃度依存的に抑制した。さらに、NOを産生する iNOSやPGE2を産生するCOX-2の発現誘導も濃度依存的に抑制した。また、カルバゾールキノン誘導体を併用処理することで、LPS誘導性のNF-κBの転写活性化が有意に抑制された。以上のことから、カルバゾールキノン誘導体は、LPS/IFN-γ刺激時に起こるNF-κBの転写活性化を抑制することで、iNOSやCOX-2の発現誘導を抑制し、ひいてはNOやPGE2などの炎症性メディエーターの産生を抑えることが示唆された。
|