研究課題/領域番号 |
23590027
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
細井 信造 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (60209236)
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研究分担者 |
勝本 之晶 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90351741)
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キーワード | CDプローブ / 絶対配置決定 / 誘起円二色性 / ビナフチル / アシルシアニド / キラル二級アルコール |
研究概要 |
申請者らは、誘起円二色性を基盤とする「誘起CD励起子法」を開発し、キラル二級アルコールおよび一級アミンの絶対配置決定に適用できることを明らかとしてきた。これまで絶対配置決定に使用してきたCD発色試薬(モノアシルシアニド)は反応点を一つしか持たない。そこで、今年度は反応点を二つ有するCD発色試薬(ジアシルシアニド)をデザイン、合成し、その特性を検討した上で、「誘起CD励起子法」の更なる適用拡大を目指した。 合成したジアシルシアニドをキラル二級アルコールに適用したところ、モノアシルシアニドの場合と同様に全てのCDスペクトルにおいて分裂型CDが観察された。また、何れの場合もスペクトルの形状はほぼ同じであったが、ジアシルシアニドと反応させて得られるジエステル誘導体のCD強度は、モノエステル誘導体のCD強度の約2倍以上になることが分かった。また、ジアシルシアニドの2つの反応点にそれぞれ(R)-および(S)-アルコールをさせたジエステルは予想通りCD不活性であった。これは、分子内でキラリティーが相殺される、すなわちメソ形化合物であると言える。以上の結果より、新規ジアシルシアニドは、モノアシルシアニドと同様にキラル二級アルコールの絶対配置決定法として利用できることが明らかとなった。その特性として誘導体のCD強度が約2倍もしくはそれ以上となることから、より明確かつ確実に絶対配置を決定できると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初キラルアルコールおよびキラルアミンにビナフチル型CDプローブを導入した様々な誘導体について、濃度、A値およびGファクターとの相関関係について検討する予定であったが、誘導体の調製が思う様に進まなかったため、懸案事項であったCD強度の増強について検討することとした。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度達成できなかった点について検討するとともに、ステロール類の5位二重結合、A/B環結合および3位立体中心のCDスペクトルに及ぼす影響についてデカリン骨格を有するモデル化合物を合成し、立体配座解析および量子化学計算を用いて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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